kz 短編集

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人間の本能なのか、思わず閉じた目を 恐る恐る開けると、
鼻と鼻がくっつきそうな距離のところに忍の顔があった。


うっ、近い…

綺麗で品のある美しい顔が、わずか１cmの距離で止まってる！！



私の心臓は映画を見ている時よりも、バックバクだった。



「ドキドキしてるか？」

忍の言葉に、真っ赤になりながらも高速で首を縦にふる。


してるに決まってるっ！





そして離れたかと思いきや、今度は私の耳元で囁いた。


「好きだよ、アーヤ。」



耳元で囁かれたせいなのか、その言葉のせいなのか…

どちらかわからないけど、私の顔はまるで完熟トマト。


私の脈、絶対 今世界一速いと思う。








私が何も返せないでいると、忍は目に涙を浮かべて笑い始めた。


…かなり長く。



「あー、おもしれ。顔、リンゴみたいだ。」


あなたのせいよっ！

リンゴだかトマトだか知らないけど、こうなるのは当たり前っ！


「やっぱりお前、面白いのな。翼の気持ち分かるわ。」


翼の真似はしなくていい…

そして、もう笑いを止めて。









まだ顔の熱が冷めない私を 忍が覗き込んでると、

ドアが開いて鎧の騎士が入ってきた。





あ…



「…失礼しました。ごゆっくり、お楽しみください。」


え。

何を？


「どうしたんだろ、何で出てったんだ。」



私達、なんかしているように見えたのかな。

あのＡＩの方向から見たら…………









違うっっっ！！

誤解だよっ！！！









＊

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