百四話 ページ32
「オイ誰だアイツら!」
「まきをさんと須磨さん!宇髄さんの奥さんだ!」
「A君久し振り早速だけど助けて死にそう!!」
「須磨ァ!」
「痛い!」
まきをと須磨の登場で一気に騒がしくなった。
だがそれを懐かしんで頬を緩ませる暇もない。視界を覆い尽くすように襲い掛かってくる帯の相手をしなくてはならない。
「無茶ですよ捕まってる人達皆守りきるのは!!あたし一番に死にそうですもんっ!」
「そうさよく分かってるねぇ。さあどれから食おうか」
「大丈夫だ須磨さん皆俺が守るから!」
「やだカッコいい!」
Aは高く飛び上がる。帯を一ヶ所に集めるために走り回りながら思考を巡らせた。
(こんなんに手を煩わされる訳にはいかないのに…!)
こいつは本体じゃない。本体である堕姫は地上にいるのだろう。
それに今は夜だから誰かが彼女に遭遇しているのかもしれない。
炭治郎も来なかったと伊之助が言った。彼は大丈夫だろうか。
そういえば善逸もいない。ここにいるはずなのに―――。
Aがタンポポ色の髪を探そうと視線を回した、次の瞬間。
ドオォン!!と雷鳴が轟いた。
「…!」
閃光が走る。
先頭でそれを引き連れるは善逸だ。Aのおびき寄せた帯達をすべて両断した。
表情は凛々しいが、鼻から出る鼻提灯が何とも不釣り合いだった。
彼の無事を確認し、Aはふと上を見上げる。
「! おい伊之助!そこどけ!」
「ああ?」
訝し気に首をひねる伊之助にAは口角をゆっくりと吊り上げて見せる。
「神が降って来るぞ」
その声は期待に胸膨らませる子供のような声だった。
88人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名梨 | 作成日時:2020年1月18日 18時