期限付きで家事代行いたします。【櫻井孝宏】

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菜緒に教えてもらった情報では、この半端ないマンションに住んでる方は男性の声優さんで、もちろんほぼ毎日お仕事があり時間や日程が不定期らしい。男性の一人暮らしのため、細かいことや料理など、家事全般任せてもらってるそう。


事情は菜緒が説明してくれてるみたいで、初めてだから色々と教えてくれるそうで、わざわざ家主さんがお家にいる時間に呼ばれたと、そういうわけです。


え、なに？目の前で料理とか作らされて試されんの？めちゃくちゃ偏食で、家具の配置とかうるさくて、独身拗らせてる奴なんじゃないの！？(人のこと言えない)


めちゃくちゃ緊張しながらマンションの中に足を踏み入れ、教えてもらった部屋番号へインターホンを押す。




ピーンポーン……



(はい)


『あ、こんにちは！家事代行サービスのAAと申します！山田さんがお休みの間、お世話になります！』


(はーい、今開けるから、上がって来てね〜)




その声と共にマンションの扉が開かれ、まだ見てるかはわからないけどインターホンのカメラに向かって一礼して足を踏み入れた。
想像していたよりずっと柔らかい声で安心した。声色からしてとても若い方なのでは…そういえば菜緒に年齢までは聞いてなかったな…



声優さんには全く詳しくはないが、声と喋り方だけをヒントにどんな方なのか想像しながらロビーを少し歩く。さすが高級マンション、ちょっとしたホテル並みのロビーみたいで迷ってしまいそう。エレベーターも少し探してしまったくらいだ。
ジムやラウンジやパーティルームなどの施設もあるようで、住人が自由に使えるようになっているのだろう。
未知の世界すぎて既に頭がフワフワした気分だ。ここにいたら感覚鈍りそう……。



所定の階にたどり着き、右か左かキョロキョロしていると、「こっちだよ〜」と少し遠くから先程聞いた柔らかい声が聞こえた。
声のされた右側を向くと、細身のスラッとした男性がこちらに手招きしていた。
小走りでその男性の元に向かうと「急がなくて大丈夫だよ」とフッと少し笑いながらまた優しく声をかけてくれて、「こっち」と私が着いて来てるのを見届けながら角を曲がって、少ししたところに部屋があった。
マンション入って更に曲がり込むなんて…どんだけ大っきいマンションなの…？芸能人とかもいっぱい住んでるんだろうな…。



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