60話 ページ11
類「それは…」
何か言いたげな類を阻止するように口を開く。
『類には分からないよね。て言うか分かるはずがないよ。俺がどれだけ惨めな気持ちだったかなんて…!!』
司「惨め…?」
『ああそうだよ。司なら分かると思うけど』
司「俺になら分かる?」
ピンと来ていない様子の司に息を一つ吐き口を開く。
『司は妹さんの病気でいつも後回しにされてたよね。』
司「ッ!!」
『そりゃ病弱な妹さんばかりが構わられるのは当たり前だよね。だって病気なんだもん。仕方がない。でもその代わりとでも言うように司は我慢してきたでしょ?』
司「それは……」
すぐに反論してこないと言うことは心の中ではそう思っていた部分があったのだろう。
『親が見るのはいつも自分じゃない。…ね?司なら分かるでしょ?母さんも父さんもいつも類ばかりだった。類が体調不良を隠しても母さんはいつもそれを見破る。けど俺の場合は違う。俺が隠しても母さんは気付かない。それどころか俺が倒れてやっと初めて気付く。』
溜め込んで蓋をしていたせいか、たがが外れたように言葉が溢れ出てくる。
『俺と類が夜遅くに帰ってきた時も母さんも父さんも真っ先に類を抱き締めてた。俺がどれだけ沢山勉強しても機械ばっかいじってる類の方がいつも点数が高い。それが嫌で嫌で仕方なくて勉強して努力してもいつも類が上回ってくる。』
司「でもそれは類が悪いわけでは…!」
『ああそうだよ!類は何も悪くない!!そんな事とっくに分かってる!!!けど…けど仕方ないじゃん!!俺が裏でどれだけ頑張っても皆んなに比べられて、俺が努力しても皆んなに"もっと頑張ろうね"、"もっと努力しなよ"、"どれだけ頑張っても結局類と比べてたったそれぐらいしか出来ないんだね"って言われ続けてさ!!!』
視界が涙で埋まり歪む。
瞬きをすれば目に溜まった涙がボロボロと零れ落ちる。
『どれだけ頑張った所で結局"双子"っていうステータスだけで比べられるんだよッ!!!そんなの…!そんなの"こんな"気持ちにならないわけねぇじゃん!!!!』
そんな俺の叫びが響けば少し間を置いて類が口を開く。
類「やはりそうだったんだね。…僕のせいですまなかった」
『は?』
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ハデス - 奏斗との歪んだ共依存が露呈というよりは垣間見える感じでとてもリアルでとても面白かったです。完結おめでとうございます!!神作です!! (7月12日 13時) (レス) @page22 id: b5ef1167b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした。最後のバットエンドで類くんだけでなく司くんまでもがラブドールの主人公を本物と錯覚?してしまい抱きしめるところはゾクッときてしまいました。とても楽しく読ませていただき、とても夢中になる作品でした。 (2023年4月11日 0時) (レス) @page23 id: 62d4ca850a (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます…とても最高でした…それにハッピーエンドからノーマルエンドバッドエンドまで見せていただけて本当に嬉しいです…次作や続きがありましたら幸いです… (2023年4月10日 1時) (レス) @page23 id: ff2512c7cb (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - うわぁもう最高でした…ありがとうございました… (2023年4月9日 7時) (レス) @page23 id: cdedb7c8a1 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - mさん» そう言って頂きありがとうございます!もうすぐで終わりを迎えますのでそれまで何卒よろしくお願いします!! (2023年3月31日 17時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甲殻類アレルギー | 作成日時:2022年12月26日 18時