59話 ページ10
類「A！！！」
響く自身の名といるはずのない人の声。
『…は？』
思わずそう口をついて出てしまえば扉の方へと振り返る。
『なんで類がここにいるの…』
ポツリと呟けば俺の元へと近付く類に無意識に声を荒げる。
『近付くなッ！！！』
その声に反応した類はぴくりと反応を見せその場に佇む。
ここは俺と湊人の思い出の場所。
湊人が最後の時を過ごした場所。
『…出て行けよ。なんでここにいるんだよ。』
俺の言葉に類は冷静な様子で淡々と話す。
類「Aの事を知りたかったんだ。勝手に来た事に関しては申し訳ないし謝らせて欲しい。…すまなかった。」
『知りたい？今更？今更知ってどうなるんだよ。俺と類の仲の溝が埋まるとでも思った？』
類「違う、なんて嘘はやめよう。確かに僕はこれを機にAとの距離が縮まってくれたらなんて思っていた。でも彼の…湊人くんの事を知るに連れて気付いた。きっとAとの距離はもう埋まらないってね。」
不意に出てきたその言葉に思わず反応を見せる。
『なんで湊人の事…』
類「Aの事を知るにはその周囲について調べる必要があったからね。必然的に…いや、どのみち湊人くんについては早かれ遅かれ知る事になってたんだ。不思議な事ではないよ。」
『気持ち悪いよ類。なんでそこまでするわけ？俺が類に対して取ってきた態度からしてもう無理だって事ぐらい分かるでしょ。』
類「僕のことをなんと言っても構わないよ。それぐらい僕はAと…以前のような関係に戻りたかったんだ。」
類の真剣な眼差しに少し動揺する。
『もう無理だよ。こんな事になってるのに戻れるわけ無いじゃん。俺は類とは一生分かち合えないし関わる気も無い。分かるでしょ？俺がどれだけ類の事を拒絶して嫌って憎んで羨んでるか』
類「羨んでる…？」
その言葉にはっとする。
何を口走ってしまったんだ、と。
その瞬間またも扉が開く。
何事かと急いで目を向ければそこには司が息を切らした様子でこちらへと近付いてくる。
近付かないで、と口にしようとすれば何故か類がそれを止める。
俺への配慮なのか…
でももういい。どうせ俺は数分もしたら飛び降りるんだ。
類が何しようと、そしてなんでこうなったかを言ったところで変わりは無い。
俺の意思は揺るがない。
『そうだよ。俺は類に嫌悪感よりも憎しみよりも何よりも"羨ましい"って気持ちがある。だって仕方ないじゃん。俺の欲しいもの全部類が掻っ攫って行くんだからッ』
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ハデス - 奏斗との歪んだ共依存が露呈というよりは垣間見える感じでとてもリアルでとても面白かったです。完結おめでとうございます！！神作です！！ (7月12日 13時) (
レス) @page22 id: b5ef1167b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした。最後のバットエンドで類くんだけでなく司くんまでもがラブドールの主人公を本物と錯覚？してしまい抱きしめるところはゾクッときてしまいました。とても楽しく読ませていただき、とても夢中になる作品でした。 (2023年4月11日 0時) (レス) @page23 id: 62d4ca850a (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます…とても最高でした…それにハッピーエンドからノーマルエンドバッドエンドまで見せていただけて本当に嬉しいです…次作や続きがありましたら幸いです… (2023年4月10日 1時) (レス) @page23 id: ff2512c7cb (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - うわぁもう最高でした…ありがとうございました… (2023年4月9日 7時) (レス) @page23 id: cdedb7c8a1 (このIDを非表示/違反報告)
甲殻類アレルギー - mさん» そう言って頂きありがとうございます！もうすぐで終わりを迎えますのでそれまで何卒よろしくお願いします！！ (2023年3月31日 17時) (レス) id: df7a45bd54 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甲殻類アレルギー | 作成日時：2022年12月26日 18時
