＊取ったどー ページ19
私と彼の間に風が吹き抜けていく。少し肌寒い。まるで、今の私達を表しているようだ。
空を仰ぐと、夕焼けが辺りを赤や橙に染め上げていた。屯所を出たときは青空が広がっていたというのに。
私はため息をついた。
このままでは埒が明かない。お互い何も言わず、ただ時間が過ぎていくだけなのである。私達に取り付く重苦しい空気に、ぺしゃんこに押し潰されそうだ。
この状況を打破するには、やはり、私が許さなければならないのだろうか。でも私悪くないよね？
しかし……うーん。いやでも……でもなぁ……。
喫茶店で沖田総悟が吐いた嘘も、両親に『破局した』と伝えれば、あのことはなかったことにできる。父も母も私が言ったことだから信じてくれる。正直言えば、これは解決できる。
けれど、その他にも彼は私をサボり目的で外に連れ出し、私のお金を使ったり、いらないと言ったものをわざわざ取ってきたりしたのだ。そのおかげで仕事時間を無くし、書類を片付けられなかった。きっと、副長に叱られるだろう。多分、沖田総悟は逃げるだろうけれど。
ふと、自分が手に持っている紙袋が目に入った。それは最初に買った着物と、ぬいぐるみが入っている。
普段着慣れない
これらに免じてやらなくもない。なんて。
「沖田隊長」
私はおもむろに声を名前を呼んだ。
「何でィ」
沖田総悟はうつむいていた顔を上げる。
「今後、私に迷惑をかけませんか」
「……もちろん」
「なら、あなたを許します」
「……へ」
もう分かっていただけただろう。私は文字通り、沖田総悟を許したのだ。
それはなぜか。彼も謝っているし、今回だけならと思ってしまったこと、この謎の思い空気に耐えられなかったこと、早く帰りたかったことが、みごとに相乗効果を発揮したからだと思う。
「勘違いしないでくださいよ。今回だけですか____」
念を押そうとした私の言葉は、沖田総悟によって止められた。
なぜなら、笑っていたからだ。あの黒い笑みを浮かべていたからだ。
状況を読み込めない私に、彼はズボンのポケットから四角の小さい機械を取り出して、そのスイッチを押した。
『なら、あなたを許します』と、スピーカーから私の声が流れてきた。そして、沖田総悟はそれを何度も繰り返す。
「お、沖田隊長、それ……」
私は小さい機械を指さして絶句した。
沖田総悟は私に機械を突きつけて言った。
「取ったどー」
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白桃餅子 - マリーナさん» こちらこそ初めまして！ ですよね、沖田くんかっこかわいいですよね！ ゆ、夢主と一緒ですって！？ おめでとうございます！！（？）いいなあ……一緒だなんて……！ あ、返信遅くなって申し訳ありませんでした。 (2018年8月12日 19時) (
レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
マリーナ - はじめまして！沖田くんがかっこいいし、かわいい！しかも夢主ちゃんと誕生日、血液型が一緒！ (2018年7月15日 14時) (レス) id: 05439fd47e (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - Sakurairoさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです！ 確かに沖田くん可愛いですよね。書きながら悶えてます(笑)応援もありがとうございます！ テスト頑張ってきます……！ (2018年5月6日 14時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
Sakurairo(プロフ) - 面白いです！！沖田君の１つ１つの行動が可愛くて！ 更新待ってます！テスト勉強頑張ってくださいね！！ (2018年5月5日 17時) (レス) id: 5935e5da26 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - 林檎はいつまでも……さん» いつもありがとう！ ドキドキしてくれたら本望ぜよ。 (2018年5月4日 12時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白桃餅子 | 作成日時：2018年1月14日 17時
