＊傷つけないように ページ17
「……何ですか」
Aは少し躊躇いながらも立ち止まって振り向いた。その声は弱々しく、普段のAからは想像できなかった。少し目が赤い。
俺はAの真正面に立つと、その白くて細い手を掴んだ。できるだけ傷つけないように、そっと。そして、素早く手の甲に口づけする。
Aは小さく短い悲鳴をあげ、俺の手を必死に振りほどこうとする。Aは掴まれた手をほどくコツなんて知らないから、俺が離さない限りその手は自由になれないはずだ。
「A、よく聞きなせェ」
Aは抵抗するのをやめた。けれど全身は強ばっていた。
こんなAは初めてだ。今すぐに抱きしめてやりたいところだが、我慢しなければならない。大丈夫、我慢することには慣れている。Aを好きになってからひたすら堪え続けてきたから。
俺は迅る呼吸を抑えつけて、ゆっくり口に出す。
「A、俺ァお前のことが好きなんでィ。それも、ガキみてェな可愛いもんじゃねェぜ。腕ん中閉じこめてキスしてェくらいのやつでィ」
Aはうつむきながら、黙って聞いていた。俺たちの耳に入ってくるのは遠くから聞こえる話し声と、風の音のみ。
「けど、今日は調子に乗りすぎた。Aなら許してくれるって、甘えてた。Aにキレられるまでずっと」
すまねェ。と、Aを見つめて言った。この言葉を使うときは大体ふざけたときだけだが、今回は違う。至って真剣だ。
「……あなたが私のことを好きでいても、私はあなたのことが好きではありません」
Aは蚊の鳴くようなか細い声で言った。一音一音注意して聞いていなければ、その言葉を逃してしまう。
「酷い言葉をあなたに向けてしまったのは謝ります。ですが、私はあなたを許せません。なので」
Aは深呼吸をした。
「用事があるとき以外は私に近づかないでください」
Aの赤くなった二つの瞳は、しっかりと俺を見据えていた。目は口程に物を言う。まさにその通りだ。
異論は認めない。Aは口にこそ出さなかったが、その目がそう語っていた。
何と返せばいいのか分からない。あっけにとられて、掴んでいた手首を離してしまう。許してはくれないだろうとは薄々分かっていたが、これはあんまりではないか。そう思ったときには、もう行動に移っていた。
俺は歩き出すAの手を引く。そして振り向いたAを、俺の腕の中に閉じ込める。
もう、傷つけないように、とか考える余裕なんてなかった。
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白桃餅子 - マリーナさん» こちらこそ初めまして！ ですよね、沖田くんかっこかわいいですよね！ ゆ、夢主と一緒ですって！？ おめでとうございます！！（？）いいなあ……一緒だなんて……！ あ、返信遅くなって申し訳ありませんでした。 (2018年8月12日 19時) (
レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
マリーナ - はじめまして！沖田くんがかっこいいし、かわいい！しかも夢主ちゃんと誕生日、血液型が一緒！ (2018年7月15日 14時) (レス) id: 05439fd47e (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - Sakurairoさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです！ 確かに沖田くん可愛いですよね。書きながら悶えてます(笑)応援もありがとうございます！ テスト頑張ってきます……！ (2018年5月6日 14時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
Sakurairo(プロフ) - 面白いです！！沖田君の１つ１つの行動が可愛くて！ 更新待ってます！テスト勉強頑張ってくださいね！！ (2018年5月5日 17時) (レス) id: 5935e5da26 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - 林檎はいつまでも……さん» いつもありがとう！ ドキドキしてくれたら本望ぜよ。 (2018年5月4日 12時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白桃餅子 | 作成日時：2018年1月14日 17時
