＊柄にもなく ページ15
「それにしても、話が分かる親父さんで良かったわー」
俺はニタニタと笑って、手を組んで後頭部にまわした。時々ちびちびとお冷を飲む。
「酷い……！」
Aの目に涙が浮かびはじめた。下唇を噛み、うるうるしたその瞳をこちらに向ける。頬も少しだけ赤く色づいていて、すごく可愛かった。もっとその顔を見せてほしいと切に願うほど。異常な人間だというのは前から知ってたが、今日は特に変だと思う。
だが、そんな気持ちもここまでだった。ついにシクシク泣き出したのだ。俺は柄にもなく、ヤバいな、と焦りはじめる。
「そんなに嫌かィ……？」
手を差し出して、うつむいたAの頬に触れようとする。だが、Aはその手を弾いた。触れるなと言わんばかりの勢いで。
「触らないで」
Aの目にはその名の通り、怒りがあった。憎しみも併せ持っている。憎しみという燃料で怒りが燃えてる、と自分でもよく分からない考えが浮かんだ。
やってしまったか。調子に乗りすぎたか。こんなにご立腹なAは初めてだ。もっと煽ってもっと怒らせるのがいつもの俺だが、今回はそんな気になれなかった。
Aは相変わらず俺を睨みつける。忌々しいと、その瞳が語っていた。行き場を失った俺の手は、最初の位置に戻ることなくテーブルの上にポツンと置き去りにされる。
「……もうどうしたらいいのよ……」
顔を覆い、肩を震わせて泣きはじめる。俺が泣かせてしまった。いつもならその顔をじっくり堪能するのだが、好きな女、しかもまだ手に入れていない女となると、なぜか心にこたえる。自分自身に問うても分からない。けれど心にくるのだ。
「……すまねェ」
普通真剣には口にしない言葉をはく。今は、涙を止めたい、その一心だけだ。そしてまた手を伸ばす。
今度は撥ねつけられることはなかった。俺は、そっと、濡れたほっぺたを優しく撫でて涙を拭った。
「その言葉は本心ですか」
Aが俺の手首を握りつぶさんとばかりに掴んだ。力が強すぎて血が止まりかけている。手の平が冷たくなってきた。
気づけば、Aの嗚咽も止まっていた。
どうせ嘘なんでしょう？ と、Aは唇を真一文字に結び、俺と目を合わせた。
「嘘じゃねェよ。本心でィ」
自分でもよく分からなかった。けれど、冗談なんかじゃないことを、とにかく伝えたかった。泣き止んではくれたものの、まだAは怒っているのだから。
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白桃餅子 - マリーナさん» こちらこそ初めまして！ ですよね、沖田くんかっこかわいいですよね！ ゆ、夢主と一緒ですって！？ おめでとうございます！！（？）いいなあ……一緒だなんて……！ あ、返信遅くなって申し訳ありませんでした。 (2018年8月12日 19時) (
レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
マリーナ - はじめまして！沖田くんがかっこいいし、かわいい！しかも夢主ちゃんと誕生日、血液型が一緒！ (2018年7月15日 14時) (レス) id: 05439fd47e (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - Sakurairoさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです！ 確かに沖田くん可愛いですよね。書きながら悶えてます(笑)応援もありがとうございます！ テスト頑張ってきます……！ (2018年5月6日 14時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
Sakurairo(プロフ) - 面白いです！！沖田君の１つ１つの行動が可愛くて！ 更新待ってます！テスト勉強頑張ってくださいね！！ (2018年5月5日 17時) (レス) id: 5935e5da26 (このIDを非表示/違反報告)
白桃餅子 - 林檎はいつまでも……さん» いつもありがとう！ ドキドキしてくれたら本望ぜよ。 (2018年5月4日 12時) (レス) id: 7a0c5e56cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白桃餅子 | 作成日時：2018年1月14日 17時
