ずっと一緒に

30 ページ30

あーあ、広臣困ったよな
お風呂に入りながら膝を抱える



こんなに広臣のこと好きなのに、いつも一緒にいるのに、なんで結婚できないんだろう…
そう思ったら…



わかってるよ、



ただ羨ましい
別に悔しいとか憎らしいとかじゃない
ただただ羨ましいだけ



結婚しようって言ってくれたけど
今はまだって言葉がつく



ただ結婚って形で安心したいだけなんだ
私は…



おんぶしてくれた広臣の背中は大きくて暖かかった
そうだよ、私はあの背中に付いて行けばいいんだよ





さっ気持ち切り替えよう








『A？生きてる？』


「死んでない」





心配そうな聞き方に
泣いちゃったことが申し訳なくなる





『お前さ飲んでんのに何一人で風呂入ってんの』



入ってきたけど今度は怒り口調
それも私を心配しての言い方なんだよね



「だって、ずっと電話してんだもん」


『翔太と真理がAとやってるか？って、眠かったんじゃないの？』





何それ…
私が「おみ」って言っちゃったからか…





「泣いたら眠気は覚めた」


『ならいいけど』





湯船の中に入ってきた広臣は、私の手を引っ張って抱えようとしたけど



向かい合って膝を抱えて座った





『なんで離れんの』


「うん…さっきはごめん」


『いいよAの気持ちわかってるから』


「うん、でも本当に良かった
真理ね翔太は結婚する気ないって言ってたんだよ」


『まじ？でも翔太はするって言ってたよ
あいつなかなか言い出せなかったんだよ』


「そっか、広臣も式に出れるといいね」


『だな…………こっちこいって』





手を引っ張られ
広臣に背を向けて寄りかかると
広臣の足が私の身体に巻きつき、手がお腹に回って顎を肩に乗せてきた



一緒にお風呂に入る時のこの体勢嫌いじゃない
むしろ好き
抱えられて包みこまれると守られてるなって感じる





『したかったんじゃないの？』


「違う…から」


『そうなの… 洗ってやろっか』


「うん…」





いつものように、椅子に座った広臣の足の間に立って全身を洗ってもらう



優しいな…









・









ベットに入るとぎゅーっと抱きしめてくれて、キスをしてくれる


広臣の唇は優しくて何度も啄ばむように重ねられ、離れて目が合えば「ふふっ」っと笑いあう








目を瞑るとゆっくりと頭を撫でてくれてそれだけで安心する、広臣の大きくて暖かい手のひらは、私の頭を優しく包んで






そのまま意識が…なくなった

31→←29 omi

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す