第123話 悪夢の花園30 兎の空間？ ページ27
視点なし
焔が燃え盛る音が響く
焼き崩れ行く村の中に、ユウキは立っていた
建物は粗方再現され感触はあるが
焔はやはり触れられない
そんな焔の音に混じって聞こえる泣き声の方へ
ユウキはそっと足を進める
ﾕｳｷ「シャオくん」
村の広場、このご時世では
古い考えの人間の村くらいでしかみない十字架の処刑台
その前で血塗れのシャベルを抱えて号泣する"昔"のシャオロン
を、眺める今のシャオロンにユウキは声をかける
ｼｬｵﾛﾝ「ユウキ...やっぱ、オレンジ髪の子の教えてくれた通りなんやな...」
ﾕｳｷ「何を言われたかはわかんないけどそーだよ、だからさシャオくん、帰ろ？皆で」
ｼｬｵﾛﾝ「...いやや」
ボソリ、と呟かれた言葉にユウキは驚きつつ
それでもしっかりと目をあわせる
ｼｬｵﾛﾝ「俺な？ここで大事なもんぜぇんぶ自分で壊したんよ」
ﾕｳｷ「壊した...？」
ｼｬｵﾛﾝ「俺は途中まで普通の人間やった、でも半でも獣人の血は流れとる、耳が出てそれで、迫害受けて、殺されかけて、殺した」
でも、と続ける
ｼｬｵﾛﾝ「ここが好きやったの思い出したんよ、途中まで普通の家族や友達やったから、ここから離れたくない、けどユウキとは居りたい、やからここで」
そう言ってユウキに手を伸ばすシャオロンの足元には
過去のモノであるが、死体が幾つも転がっている
ｼｬｵﾛﾝ「なぁ、俺とずっとおろうやユウキ」
泣きそうな顔で伸ばされたシャオロンの手を
ユウキはパシッと払う
ﾕｳｷ「ねぇ...
いい加減、腹が立つんだけど
マリーゴールド」
第124話 悪夢の花園31 悪夢の空間→←第122話 悪夢の花園29 天邪鬼の空間、花
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作者名：夜月ルナ | 作成日時：2020年1月23日 9時
