第57話 灰色狼奪還戦争4 ページ10
ﾕｳｷ「やめてください!!!!!!」
触手が目前に迫った時、声が響く
ピタリと触手と俺達、双方止まる
ﾕｳｷ「アル様、その人達に手を出さないで下さい、お願い、します」
まるでアルに頭を下げるように、俯いてユウキが叫ぶ
ｱﾙ「...なら」
ガシャン、と音がして
ユウキを閉じ込めていた籠のドアが開き
ｱﾙ「お前が殺れ、ユウキ」
一本の触手がユウキに一本の銀の剣を差し出す
だが一瞬、絶望に染まった顔は
アルと目を合わせた途端に微笑む
ｿﾞﾑ「ユウキｯ！！正気かオイ！」
ﾕｳｷ「....」
ｿﾞﾑ「そんな、そんなもんやないやろ？！お前の心は！」
俺は思わず叫ぶ、だけどただ
光のない目を向けられただけ
どんな理由があろうとも、ユウキにグルッペンを傷付けさせてたまるかと
ナイフを構え、力ずくでも止めようとする
ｱﾙ「まったく...大人しくしていてください」
ｿﾞﾑ「ｶﾞｯ...ぁ、なんや、これ！？」
ｼｮｯﾋﾟ「重力、付加の魔法ッ！？！」
ズン、と
かかる重力が増え俺ら全員膝をついて動けなくなる
一番先頭にいるグルッペンの目の前に立って
ユウキは剣を振りかぶる
だが、その顔は
いつもの様な"俺らに向ける笑顔"だった
ｿﾞﾑ「へ....？」
驚いたのも束の間
ユウキが舞うように振りかえり
アルを流れるように剣を横に払い、斬る
あまりの速度と行動に、アルも反応が遅れる
胸辺りに横向きに傷を作る
ｱﾙ「グｯ...ユウキ！何を！？」
ﾕｳｷ「ごめんなさい、アル様」
ガクリ、と膝をついたアルの前に立って
ユウキが微笑みながら、話す
ﾕｳｷ「貴方のくれた愛は毒みたいで、俺の全部を壊していったけど、それでも俺はきっと、愛されるうちに、本当に貴方が好き"でした"」
ｱﾙ「やメて、クレ、ユウ、ギ」
別れを告げる事を理解したアルが触手を伸ばす
すがるような触手が、ユウキを包んでいく
最早アルの言葉はヒトから少しずつ離れている
ﾕｳｷ「だから俺は、今ここで貴方にとどめを刺せないけど」
ｱﾙ「ユ"ウ"キ"」
ﾕｳｷ「きっと貴方を忘れられないけど、俺はもう、貴方なしで生きれるから」
すがる触手を切り落とし、そっと近付いて
ユウキがアルの腹に、剣の柄で一撃食らわせる
ﾕｳｷ「さようなら、アル様」
意識を失う王に向け
最後に狼は
一番綺麗な微笑みを見せた
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夜月ルナ(プロフ) - 海玲 ミレイさん» ミレイさんコメントありがとうござます！フェアリーテイルは漫画を全巻読んでいまして、それこそ魔法の参考にさせて頂いていたりしています。 (2021年1月2日 21時) (
レス) id: 012def0b6c (このIDを非表示/違反報告)
海玲 ミレイ - 初コメです！ もしかしてフェアリーテイル知っているのですか？ (2021年1月2日 7時) (レス) id: 4fcf758c47 (このIDを非表示/違反報告)
夜月ルナ(プロフ) - バリバヒさん、ありがとうございます！頑張って書いていきます！ (2019年12月6日 18時) (レス) id: 7d5c3fd4fb (このIDを非表示/違反報告)
バリバヒ - 続き期待してます、すごい壮大で美しい物語ですね (2019年12月6日 16時) (レス) id: dc5f1fb27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜月ルナ | 作成日時：2019年12月1日 9時
