守備範囲外でも愛してる【文スト】

●子供 ページ27

りんさんリクエストです！


「優花そっち行っちゃダメだよー。」

執務室に行こうとする小さな体を抱き上げればきゃっきゃと楽しそうにする姿は可愛くてしょうがない。優花も早7ヶ月。あまり人見知りしないこともあって、完全にポートマフィアのアイドルだ。

「鴎外さんお仕事中だからね。こっちで遊ぼうか。」

しかし、彼女の父親レーダーが反応するのか執務室の方へと行ってしまう。玩具で気を逸らしてもしばらくすればすぐ扉の方に向かう。これはどうしよう。ちらっと扉を開けて覗いてみるとまだ書類と睨めっこしている。今は忙しい時期だからなぁ。

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報告書を読み込んでいると、足元に重みを感じる。見ると優花が森の足にしがみついていた。ひょいと抱き上げて目を合わせれば、森によく似た紫水晶のような目が楽しそうに笑う。

「目の色は私だけど、笑った顔はAそっくりだねぇ。1人で来たのかい？」

あー、とだけ応える優花は愛らしいが、彼女の方が心配だ。仕事も一応ひと段落したところで優花を抱え、2人がいた奥の部屋に行けば扉が開いており、器用に座ってうたた寝する彼女がいた。そっと頭を撫でるとパタンと森の方に倒れる。それでも彼女はすやすやと眠っていて起きる様子はない。両手に花の状態で幸せなのだが生憎今は決算期で非常に忙しい。

「うーん、そうだねぇ。」
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紙が擦れ合う音で目が覚める。真っ先に視界に入ったのは鴎外さんの顔。...え？

「おはようA。」

「おはようございます...えっとこれはどういう？」

「膝枕だよ。君が寝てしまったからね、優花はエリスちゃんと遊んでいるよ。」

慌てて起き上がると彼が少し残念そうな表情をする。その目は卑怯だ。彼のすぐ隣にそっと腰掛ける。

「忙しいんじゃないんですか...。」

「忙しいからこそ奥さんの可愛い寝顔が見たかったんだよ？」

迷いなくこういうこと言うから嬉しいのだ。私が彼に甘くなるのも仕方ない。赤くなった顔を隠しながら言ってしまう。

「...これ終わったら、優花を紅葉さんに預けますから。」

「それって、そういうことかい？」

「知りません...」

この後、鴎外さんが全力で仕事を終わらせたのは言うまでもない。

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