【銀魂】吉原ラメント―背徳の恋―

【四】今日から* ページ6

―1年後:吉原にて


あ「…ﾊｯ!!」




あの時の夢…。


何で今日に限って、見ちゃうかなぁ…。




あ「…」




あの日から1年が経った。


わたしは今、


吉原の「紅屋(ｸﾚﾅｲﾔ)｣という、


人気の見世(ﾐｾ)で働いている。




まだ、客は取っていない。


いや、正確に言えばわたしにはまだ客は取れない。


わたしは遊女の下級ﾗﾝｸの「新造(ｼﾝｿﾞｳ)｣だからだ…。




けれど、今日からは違う。


わたしは今日、格が上がり


中級ﾗﾝｸの「局(ﾂﾎﾞﾈ)｣となった。


中級は安く遊べるので人気だ。




つまり、わたしは今日から


客を取れる。


わたしは、初めてを


全然知らない男に奪われる。




そう考えると、


とても、怖くて仕方がなかった。


けれど、そういう運命なんだ。


諦めるしか、方法はない。




楼「ほら、A。見世が始まる。
　 準備しな」


あ「はぃ」




鏡を向いて


紅を引く。


そうしている間でさえも、


身体中の震えが止まらなかった。


こんなに怖いものだなんて、知らなかった。




そんなわたしの気持ちもお構いなしに


時間は刻々と過ぎていき、


見世は始まりを迎えた…―――。

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