心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ7)

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「こいつはクラッブ、ゴイルだ。
僕はマルフォイ。ドラコ・マルフォイ」

マルフォイがその男の子の目の前に立ってようやく気が付いた。

え、この子がハリーなの？

もっとなんかこう、自身に満ち溢れた、
ヒーローの様ないで立ちをしているものかと思っていた。

しかし、彼はむしろ想像と真逆で、気が弱そうで、
ちょっと冴えない感じだった。

マルフォイの言葉に、先ほど湖岸でこけていた赤毛の子が
クスっと吹き出した。
それをマルフォイが見逃すはずがない。

「僕の名が可笑しいか？君の名前は聞くまでもないね、
赤毛に、そのおさがりのローブ。ウィーズリーの家の子だろう？魔法族にも家柄がいいのとそうでないのがいるんだ。付き合う友達は選んだ方がいいよ」

馬鹿にするようなマルフォイの視線に、赤毛の男の子は委縮して俯いた。

こいつ、最悪すぎる。

ハリーも呆気にとられたのか、
気弱で言い返せないのか、ともかく黙ってしまった。
にやにやと微笑むマルフォイの顔も拍車をかけて、
私は右手の拳をぎゅっと握った。

「僕が教えてあげよう」

差し出されたマルフォイの手。振り払ってやろうと息巻いて踏み出した時、ハリーがその手に向かって言った。

「いいよ、友達なら自分で選べる」

マルフォイのぽかんとした顔。

よく言った！

私は心の中でハリーに拍手喝さいを送っていた。