心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ45)

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広間はこれまでに見たことがないほど、素晴らしい眺めだった。
クリスマスツリーが12本も様々に飾り立てられて並び、柊や宿木が綱のように編まれて壁に飾られていた。

ハグリッドがマクゴナガル先生たちの指示で、もみの木を設置しているのをぼんやり眺めていると、ハーマイオニーがこちらへ駆けてくるのが見えた。

「お休みまであと何日だ？」

「あと一日よ」

ハグリッドが戻ってきて、ハーマイオニーに聞いた。

「そういえば____ハリー、ロン、昼食まで30分あるから、図書館に行かなくちゃ。それとA、あなたにも聞いてほしいことがあるの」

「私も？」

そうよ、とハーマイオニーが答えると、ハグリッドが驚いたように言った。

「図書館？お休み前なのに？お前さんたち、ちぃっと勉強しすぎじゃないか？」

「勉強じゃないんだよ。ハグリッドがニコラス・フラメルって言ってからずっと、どんな人物か調べているんだよ」

「なんだって？」

ニコラス・フラメル？

何がなんのことやらよく分からないうちに、ハグリッドと3人の間で会話が展開されていく。

そうして最後には、不満顔なハグリッドを置いて、ハリー達3人は私を引きずるようにして、図書館へと向かった。

「さぁ、2人はこのリストにある本を探しに行って。私からAに話すわ」

ハーマイオニーの話した、事の次第はこうだった。

数ヶ月前、グリンゴッツの金庫から何かが盗まれた。
それはハリーによると小さな小包のようなもので、学校のとある場所に隠されていて、スネイプ先生が奪おうと策略している。

ハグリッドがうっかり漏らした、ニコラス・フラメルという名前だけが、隠された物の正体を突き止める手がかりらしい。

しかし、どれほど探してもその名は見つからず、人手を必要として、信頼のおける人に手伝ってもらおうと私を巻き込むことになった。

「ニコラス・フラメルって名前を探したらいいのね？」

「そうなの、お願いできるかしら」

私は二つ返事で返すと、ハーマイオニーから受け取ったリストを手に図書館の幾百もある細い通路と棚の間を、探し始めた。

といっても、手当り次第に本を集めるだけなので、そう時間はかからなかった。

一人でいた頃、図書館の索引や作者や本の内容によって振り分けられている棚の場所をすっかり覚えてしまっていたからだ。