【銀魂】スノードロップの花【沖田】

final ページ22

｢続きまして、女子高生が行方不明に
なっている事件についてです｣


テレビの画面の奥ではアナウンサーが
眉間を寄せながらこちらを見ていた。

少女はそれを睨み返すように、
また聞き入るように身を乗り出しながらテレビの
画面を見つめる。



｢女子高生が行方不明になり、今日でちょうど
1週間。女子高生が通っていた高校では……｣



画面には自分も通う高校の校舎が写り
だされる。

ベラベラと難しい言葉を並べるアナウンサーに
少女は怒りを隠せず思わずリモコンを乱暴に
机に置いた。



｢……。また、女子高生が最後に目撃された場所で
一緒に歩いていた同級生の男子高校生も
5日前から登校しておらず、目撃情報も無く
行方不明です。
警察は事件の可能性もあるとみて、
2人の捜索に更に力を強めています｣



機械のように話すアナウンサーは、すぐに
表情を切り替え｢続きまして、｣と今度は
明るい話題に変えた。

少女はふぅと溜息をつきながら、
｢行ってきます｣と気だるげにカバンを手に取ると
玄関の扉を開いた。


重い足取りで学校に向かえば、
カメラを持ち、マイクを持ち、ガヤガヤと
マスコミが押し寄せる騒がしい校門。

その人達の前で必死に生徒を入れようと
先生達が頑張っていた。


少女はそれを少し遠くから見つめていた。


大人は哀れだ。
きっとAがいなくなったことを
面白く思っているのだろう。

少女は悔しくてたまらない。
日傘を握る手にギュッと力を込めた。


｢あ、ねぇちょっと君！！｣


1人の報道陣がこちらに向かってくると、
追うように何人もの人が少女にマイクとカメラを向けた。


それを見た学校の教師である紫色の長い髪を
揺らした女性は大きく叫んだ。



｢貴方達いい加減にしなさい！
その子から離れて！｣



赤い淵の眼鏡の奥に宿る小豆色の瞳は
ひどく怒りに満ちていた。

そんな彼女の努力も虚しく、大人は少女に
沢山の質問を投げかけた。



「西園Aさんはご存知ですか？
貴方との関係は？」

｢……友達｣



少女がそう言うと、大人達はザワザワと
声を曇らせた。

何故なら同じ質問を他の生徒にしても、
友達という答えが返ってきたのは初めてだからだ。

少女は最初返答に迷った。
友達だと一方的に思っていた事を知っていたから。



｢西園Aさんはどんな生徒でしたか？｣


少女の碧い瞳が潤むと、カメラのフラッシュは
さらに酷くなる。

少女は小さな声で答えた。


｢よくわからない奴だった。
でも本当は優しくて……天使のような、
女の子だったアル｣

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