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元々私は、図書室の常連だった。


彼を見つけて惹かれたのも、ここが
きっかけだった。



出会いは1ヶ月前。


いつも通り図書館に居て、静かなのは
図書室だからではなく、人がいないから、なのだ。


大体ココに訪れるのは私ぐらいで、
図書室を管理する先生とは仲が良い方で、
二人で大声を出しながら話すのも日常茶万事だった。


でもそんなある日。


先生が出張で図書室を空けるというので、
代わりに鍵の管理を任された。

どうせ誰も来やしないから、本の貸出や返却は
恐らく問題無い。


私もそう思って鍵を受け取り、いつものように
本を狂ったように読んでいた。



しかし私の予想を裏切るように、
図書室の扉が開いたのだ。


部屋のドアに触れている人が私と先生じゃない
光景など見た事もなく、異常で、

思わず私は棚の影に隠れた。


入ってきたのは男子生徒で、スラッとした
シルエットが特徴的で、欠伸をすると
スタスタ歩いて椅子に座った。


恐らく彼は私に気づいていないのだろう。
その場でスースーと寝息を立てながら寝てしまう。


不思議な事が重なり、私の脳みそは追いつかない。


……下校時刻までには起きて、どっかに行って
くれればいいのだけれど。


そんな事を考えながら、彼には死角になる
所でしゃがんで本を読み漁った。


夢中になっていればいつの間にか最終下校時刻を
告げるチャイムが鳴っているなど、
これも毎度のことであった


扉に向かって鍵をカバンから出していると、
背後に気配を感じて振り返る。



『……嘘』



思わずそんな声がこぼれた。


先ほどの彼はまだ変わらない場所で寝ていた。



図書室内にもチャイムが鳴り響き、外からは
生徒達を急かす先生達の怒鳴り声が聞こえてくる。


私はこの図書室の鍵を閉めなくては
いけない。

しかしその為にはこの人を起こさなきゃいけない。


私はそっと彼に近づき、肩に手を伸ばすと
その場でピタッと手が止まる。



変な柄のアイマスクがズレた中身は、
真っ白な肌、長い睫毛、淡い呼吸。


夕日に照らされる全てが、彼の美しさを
象っていた。


蛇に睨まれたカエルのように、私の体は
ピクリとも動かなかった。


心臓も麻痺したように波打って、
指先はピクピクと震えていた。



ゴクリと息を呑むと、

彼の優しい目が、ゆっくりと開いた。



バチッとあってしまった目を逸らせず、私は
何度も瞬きをした。



その後の記憶は曖昧で、よく覚えていないが

気づけば彼は夕日に消えるように


図書室から姿を消していた。

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ももりんご(プロフ) - ゆうかさん» ありがとうございます!!!泣 頑張ります!!! (2017年8月21日 21時) (レス) id: 694f30da04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - ももりんごさん» ありがとうございます、楽しみに待っています!ももりんごさんのペースで更新頑張ってください(*^_^*) (2017年8月20日 3時) (レス) id: 0936a2ea26 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんありがとうございます!リクエストにお応えして、私がメモしていたものですが総悟sideも日を改めてupする予定です!是非ご閲覧ください!^^* (2017年8月19日 23時) (レス) id: 694f30da04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 沖田さんside見たいです! (2017年8月18日 2時) (レス) id: 0936a2ea26 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご(プロフ) - くくりさん» みたいですね! 怖いですよね……((´д`)) (2017年8月12日 11時) (レス) id: 694f30da04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももりんご | 作成日時:2017年7月27日 0時

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