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「そろそろ帰るか」

『うん!』


最初は少しだけ憂鬱だった勉強会が、
総悟のおかげで最後はとても楽しかった。


彼は勉強を教えてくれるだけではなく、
沢山の話をしてくれた。

とは言っても明るい話など一つもなかった。
大体は担任の土方先生の愚痴ばかりだったが、
それを聞くだけでも私は楽しかった。


総悟と一緒にいられた時間が、ただとてつもなく
幸せだった。


結局、カフェを出たのは夜の8時。


これが世にいう時間を忘れる程、というものなのかと
改めて実感する。


辺りはすっかり暗くなっていて、
街を歩くカップルもちらほら見えた。


まだ全然冬なんかじゃないのに、暗闇の中に
光る沢山の明かりはまるでイルミネーションのようで、


2人で並んで歩くと、何故だか妙に
意識してしまう。


数歩前を歩く彼の手が、一瞬だけ
自分に伸ばされた気がした。


ふと気づけば、釣られるようにその白い手に
自らの手を重ねようとしていた。



スッと彼の手はポッケに仕舞われ、そこで
ようやく我を思い出す。



……何だかとても、もどかしい。



突然に苦しさを覚えた私は、その場で立ち止まる。


何歩か歩いて私に気づいた総悟は
振り返って、私に近づいてくる。


そして心配そうに、私の顔を覗き込んだ。



「腹でも痛てぇのか」

『……違う、違うけど』



私は首を左右に振った。

こんな事で彼を困らせてはいけない。


わかってはいたけど、どうしようもなく
私は自分のしたいことがわからない。



ただ家に帰りたくなくて、ただ……総悟の
そばにいたい。


今離れてしまえばもう一生出会う事は
出来ないのではないかと、とてつもない
不安に襲われる。



『夜は、嫌いなの。
余計な事次々考えちゃう』



自分でも何を言ってるのかわからなかった。

それでも開く口は塞がらず、



求めるのは、総悟だけ。




『総悟……触れても、良い?』



顔を上げた先には、人間とは思えないほどの
美形な顔。


その真っ赤な瞳の奥が、僅かに光った。



ねぇ総悟、今何を考えているの?




その優しい心と、真面目な頭で、


映しているのは誰の顔?




教えて。




だから答えは、YESじゃなきゃ許さない。





私は一度目を閉じて、すぐに開く。


目の前の彼の顔は困ったように眉を下げていた。



それでも私は彼の目を捉えて逃がさない。




気がつけば、総悟の白い腕が伸びて、


私の小さな手を握りしめていた。

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ももりんご(プロフ) - ゆうかさん» ありがとうございます!!!泣 頑張ります!!! (2017年8月21日 21時) (レス) id: 694f30da04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - ももりんごさん» ありがとうございます、楽しみに待っています!ももりんごさんのペースで更新頑張ってください(*^_^*) (2017年8月20日 3時) (レス) id: 0936a2ea26 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんありがとうございます!リクエストにお応えして、私がメモしていたものですが総悟sideも日を改めてupする予定です!是非ご閲覧ください!^^* (2017年8月19日 23時) (レス) id: 694f30da04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 沖田さんside見たいです! (2017年8月18日 2時) (レス) id: 0936a2ea26 (このIDを非表示/違反報告)
ももりんご(プロフ) - くくりさん» みたいですね! 怖いですよね……((´д`)) (2017年8月12日 11時) (レス) id: 694f30da04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももりんご | 作成日時:2017年7月27日 0時

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