49．エピローグ ページ49
−6年後
「いらっしゃいま…何だ、翔太か」
「お前、客に向かって失礼だぞ」
都内のイタリアンバーのカウンターの中にいる涼太は、
顔をあげたかと思うとすぐに皿を拭く作業に戻った。
「あれ、弟くんとAちゃんは？」
「ああ、弟が空港まで迎え行ったんだけど、何か渋滞してるらしい」
そう尋ねる涼太に、俺はネクタイを緩めてカウンターに座りながら答えた。
「北斗くんお迎え行けたんだ？この前一緒に来たとき、忙しいって言ってなかったっけ？」
「この日はどうしてもって言って有給取ったらしい」
「でもそれで有給取れるって、相当仕事できんだね」
涼太は俺にビールを出しながらそう言った。
松村と付き合いだしてから、弟と仲良くなった。
現に今も月2、3回のペースで飲んでいる。
弟は高校卒業後、建築学科に進学し首席で卒業した。
在学中からその才能が見込まれ、アルバイトしていた大手建築会社にそのまま進学し、
今は一級建築士を目指して頑張っている。
「てか翔太、今日研修初日だったんでしょ？どうなの、病院って」
「研修医だからって容赦ねぇよあの人」
「あははっ。あの、Aちゃんの先生だっけ？」
「ニコニコしながら超鬼畜」
涼太は笑いながら言ってるけど、まじで疲れた。
俺はというと、高校卒業後、医学部に入って精神科医を志した。
今まで勉強とか生きる意味とか考えたことなかったけど、
松村が過去を克服して変わっていく姿と周りを見て、純粋に良いなと思えた。
その中心にいたのが、深澤先生だった。
俺もこの人のようになれればと思い、今日から彼のもとで研修医として勉強し始めた。
「てか俺、Aちゃん半年ぶりだな」
「あ、もうそんななる？」
「最後に会ったの新年会やった冬だからさ」
「まぁ、東京と大阪ならそんな感じだよな」
涼太の言葉に頷く。
「お兄ちゃんが一緒に暮らさないかって」
あの後、付き合い始めてからすぐ、松村はそう言った。
兄の照さんは大阪のアパレルブランドで働いてるらしく、
松村の記憶が戻ったのでまた家族として一緒に暮らしたいと言ったらしい。
松村も今まで一緒にいられなかった分を取り戻したいと、そう希望した。
結局、高校卒業後、すぐにあいつは大阪へ行き、大学もそこで出て、就職も大阪でした。
あれから6年、何やかんやで遠距離だけど俺らは続いている。
そんなことを考えていると、
「こんばんは〜」
扉が開いた音がして松村と弟が店の中へ入ってきた。
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小鳥(プロフ) - しょぴたんさん» しょぴたんさん！完結して日数経っていますがこうしてコメントいただけてとっても嬉しいです。なべほくいいですよね…笑こちらこそ作品読んでくださってありがとうございました＞＜またしょっぴーとは別の作品でお会いできるよう頑張ります！ (2019年9月9日 22時) (
レス) id: e764ad7d51 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴたん - しょっぴーの作品なにかないかなーと思って出会った作品。北斗のことも大好きなので、推し×推しという最高の設定。いざ読み始めたらとても素晴らしい作品で一気に読んでしまいました！こんな素敵な作品に出会わせていただきありがとうございました！ (2019年9月8日 22時) (レス) id: 3b873b3050 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥(プロフ) - あーべちゃんさん» あーべちゃんさん！お読みいただきありがとうございました！面白かったという感想、とってもとっても嬉しかったです。何度も読み直していただくと新たな伏線？みたいなのが見えてくると思います！新作も楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2019年8月24日 23時) (レス) id: fc4bc2a384 (このIDを非表示/違反報告)
あーべちゃん - とっても面白かったです。終わっちゃいましたけど、これからも読み続けます！ (2019年8月24日 22時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
小鳥(プロフ) - 神ななさん» 神ななさん！ありがとうございます！心に響いたようでとても嬉しいです。しっかり読んでくださったからこそだと思います。ありがとうございます。新作執筆中なので楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: fc4bc2a384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鳥 | 作成日時：2019年8月10日 21時
