15. うそつき ページ15
<SIDE翔太>
「おばちゃん、サンドイッチととんかつサンド、それからいちごサンドと揚げパン!」
購買の列に並んでいた俺はおばさんにそう言った。
「あら〜彼女さんでもできた?」
「そ、そんなんじゃないですけど」
おばさんにそう言われ、頬がゆるむ。
まぁ、いずれはそうなったらいいなぁとは思いますよ?
「ありがとうございますっ」
いつもより元気よくおばさんにお礼を言って職員室へ戻る。
でも
「…あれ?」
購買から戻ってきた俺は職員室の前に松村がいないことに気が付いた。
「…トイレか?」
そう思って買ってきたパンを見ながら待ってたけど、
来なかったから諦めて教室に戻ることにした。
「翔太、遅かったじゃん」
「購買結構並んでさ」
教室に戻るともう他の奴らは昼飯を食べ終えてて、
隣を見たけどあいつの姿はなかった。
「え、てか翔太そんな甘いやつ食うっけ?」
「あ、ま、まぁ?気分転換?」
「珍しー」
それ以上突っ込まれたくなくて俺はあいつの分のパンをカバンに突っ込んだ。
でも何分経ってもあいつが教室に戻ってくることはなかった。
あいつが戻ってきたのは授業が始まる直前だった。
「…」
何事もなかったかのように席について、準備を始める松村。
え?
パニックパニック。
俺待ってろって言ったよな?
どっかで飯食って来たってこと?
いや、ごめんの一言くらいあってもよくね?
とか思ってたら、
「起立ー、礼ー」
授業が始まって話しかけるタイミングを逃してしまった。
『待ってたんですけど』
俺はイライラとモヤモヤが収まらなくて、ノートの切れ端を破ってそこにそう書いた。
それを先生にバレないように机に投げると、
「…」
松村はそれを怪訝な顔で開いた。
そして、何かを書いて俺に渡した。
「…は?」
それを読んだ瞬間、俺は小さく声が出た。
『待たされるようなことするからでしょ。うそつき』
手紙から松村に視線を移すと、あいつは何食わぬ顔で黒板を見ていた。
だけど俺はそれ以上何も言えなくて、机に突っ伏した。
待たされるようなこと…
うそつき…
もしかして、ばれた?
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小鳥(プロフ) - しょぴたんさん» しょぴたんさん!完結して日数経っていますがこうしてコメントいただけてとっても嬉しいです。なべほくいいですよね…笑こちらこそ作品読んでくださってありがとうございました><またしょっぴーとは別の作品でお会いできるよう頑張ります! (2019年9月9日 22時) (レス) id: e764ad7d51 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴたん - しょっぴーの作品なにかないかなーと思って出会った作品。北斗のことも大好きなので、推し×推しという最高の設定。いざ読み始めたらとても素晴らしい作品で一気に読んでしまいました!こんな素敵な作品に出会わせていただきありがとうございました! (2019年9月8日 22時) (レス) id: 3b873b3050 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥(プロフ) - あーべちゃんさん» あーべちゃんさん!お読みいただきありがとうございました!面白かったという感想、とってもとっても嬉しかったです。何度も読み直していただくと新たな伏線?みたいなのが見えてくると思います!新作も楽しみにしていただけると嬉しいです! (2019年8月24日 23時) (レス) id: fc4bc2a384 (このIDを非表示/違反報告)
あーべちゃん - とっても面白かったです。終わっちゃいましたけど、これからも読み続けます! (2019年8月24日 22時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
小鳥(プロフ) - 神ななさん» 神ななさん!ありがとうございます!心に響いたようでとても嬉しいです。しっかり読んでくださったからこそだと思います。ありがとうございます。新作執筆中なので楽しみにしていただけると嬉しいです! (2019年8月24日 17時) (レス) id: fc4bc2a384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鳥 | 作成日時:2019年8月10日 21時