~初デート~ ページ14
待ち合わせ場所に着くと、彼は既に待っていた。私の姿を見つけるなり、手を振ってきた。
「やほ」
『どう？ちゃんとした格好できたつもりなんだけど』
「うん、似合ってると思う」
『良かった〜』
私は彼の服装を上から下まで見た。白シャツの上に紺色のカーディガンを着ており、下は黒のスキニーパンツを履いている。シンプルかつオシャレに見えるコーデだ。
「じゃあ行こうか」
『そうだね』
こうして私達は偽りのデートに出かけた。
『映画？？』
「うん、見たいのがあったんだよね」
『いいよ』
「じゃあ決定ね」
映画館に着いた私達はチケット売り場に向かった。
『何見るの？』
「これ」
そう言って渡されたのはホラー映画のパンフレット。表紙には血まみれの女の人が描かれていた。うわっ……絶対怖い奴じゃん……。
「俺これ見ようと思ってたんだよね〜！」
『……そっか』
「あれ、もしかしてホラー苦手？」
『べ、別に……？』
「ふぅ〜ん」
彼はニヤリと笑った。そして、私に向かってこう言った。
「嘘つきさん」
『……！？』
コイツ……私が前言ったの恨んでたのかよ。まぁ怖いの苦手だし……言い返せない。
「まぁ、無理しなくても良いよ。他のにするから」
『……大丈夫』
「本当に？」
『……大丈夫だから！早く行こ！！』
「分かったよ……面白いなぁもう」
『え？？？』
「いや、なんでもないよ」
彼は首を横に振りながら答えた。
「席ここかな」
『隣同士か……』
「嫌？」
『別に……そういうわけじゃない』
「良かった〜」
いざ後五分程でホラー映画が始まると思うと、えらい緊張してくる。
てか何で初デートでホラー映画なの……ほんとに、
『ね……手繋いでもいい？』
「え？？」
『あ、いや、その……一応ね？ほら学校の誰かが見てるかもしんないし……？？？』
我ながら何を言っているんだろうと思った。恥ずかしくて死にそう。
すると、突然左手が温かくなった。見ると、彼が私の手を掴んでいた。
私は驚いて思わず声が出そうになったが、必死に抑えた。
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作者名：小鳥 | 作成日時：2023年7月9日 15時
