30 ページ30
トリック「ンなこともあったなぁ…」
早朝。甲板でいつものように空を見ていれば、フラッとトリックが現れた
夢で見た過去の話をトリックにしてやればボーッとそんなことを呟く
幽霊のようにあたしに付き纏う過去たちは時に悪夢となって襲い掛かってくる
この過去から解き放たれたらどんなに楽だろう、と何度思ったことか
『過去は変えられない。そんなこと分かってるけど、やっぱり考えちゃうんだよね。もし、今みたいな強さがあれば、みんな守れたのかなって』
トリック「…もし、お前が、"ルチア"があの時、守っていたら"ファンシー"はいたか?海賊になって俺らと一緒に海を渡る決心ができたか?」
あたしが海賊になったのは"ジャック・スパロウへの復讐"するため
もし、家族が生きていたら海賊になるなんて選択肢は絶対にない
そしたらピーターやチップには会えないままだったかもしれない
『運命って怖いね…』
トリック「そうだなぁ。まっ、それがお前の運命ってことだ」
そう言い残すと「じゃあな〜」と船の奥へと消えていく
いつの間にか空が明るくなり太陽が昇ってきた。日の出だ
チップ「あっ!ファンシー!!」
『おはよう、チップ。朝からマンマの手伝いか?』
チップ「うん。今から甲板掃除なんだ」
『あたしも手伝うよ』
チップ「いいのか…?」
『ピーターには内緒だよ?』
チップ「……分かった!!」
太陽のように明るい笑顔で笑ったチップ
その笑顔が自然と弟たちに重なる
家族は死んだ。でもそこでクヨクヨしても仕方ない
みんないつもあたし達の側にいるんだから
・
・
・
・
・
バルボッサ「カルロス。やっぱりお前の娘だな。お前にそっくりだ……ちゃんと見ててやってくれ。あいつは、強くなるぞ。なんてたってカルロスの娘。そしてバルボッサ海賊団の一員なんだからよ」
船長室の窓から見える海を見つめる女
今は亡き、俺の親友の娘
天下一品の度胸と勝ち気なその性格は父親そのものだ
ファンシー。お前は何も迷わなくていい
お前が思うがまま、大海原を謳歌しろ
そしてお前の父親が成し遂げれなかった七つの海を制覇するといい
俺たち、バルボッサ海賊団と共にな
84人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ファンシー | 作成日時:2018年12月1日 12時