ト リ ッ プ 少 女 は 武 装 探 偵 社 員 ！ ！ 【文スト】

4. ページ34

.



「コラーッ！！
出せ！！出せったらこの糞が！！
可愛いレディーをこんな狭苦しい所に葬って楽しいか！？最低だな！！

あ、あぁ！！お腹空いた！何か食料を取って来よう。
…てことで出してくださいおじさん」




「昨日も云っていたな、出さんぞ小娘」




敦がどうなったかは知らないが、私には何事も無く夜が明け、現在夜。

で、in個室。

前には木の椅子に座った年老いたおじちゃんが私を監視していた。




「おじさんこそその本昨日も読んでたよ。
飽きないの？一緒に散歩しない？」

「此処は空の上だぞ。
逃げられん」




本を捲ったおじさんに、私は軽く舌打ちをする。

でも、本当に皆現在何をしているのだろう。

あーあ、敦で遊びたい。

太宰を馬鹿呼ばわりしたい。

乱歩に仕返ししたい。

国木田に久々に怒られたい。

与謝野女医に天使スマイルを向けられたい。

賢治君と牛丼食べたい。

谷崎兄妹のイチャイチャ振りがみない間にどうなっているかを拝見したい。

鏡花ちゃんに抱き着きたい。

社長に褒められたい。









私、探偵社の皆が好きなんだなぁ。









「……………………………、『夏目A』。








これが、本名だな」







私は、胎児が産声を元気に上げた、その瞬間のように、清々しい気持ちなった気がした。









今までなかった、『夏目』というピースが嵌め込まれたからだ。









私の名前は『夏目 A』。









どうして忘れていたのだろう。

5.→←3.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す