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「異能は便利な支配道具じゃない。
それは僕が善く判ってる。
自分の創った空間に死ぬまで__、
否、死んだ後も囚われ続けたいか?」
「あたしは……失敗するわけには」
モンゴメリが泣きながら叫ぶ。
それがとてつもなくスピーカーで流れているように、心に響いてくる。
「今から手を離す。
決断の時間は扉が閉まる一瞬しかないよ」
「だめ、待っ」
敦は腕を離し、そのままモンゴメリと共に室に落ちていった。
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目を開けると、車の走行音や人のざわつき。
囚われていた私達は、交差点に人の視線を集めながら座っていた。
どうやら戻って来られたらしい。
実家のような安心感だ。
皆がそれぞれ、焦りながらも思いを共有するようにすがり付いている中、敦は皆と離れ蹲る少女に近寄る。
「……ごめん。
若し……何か僕に」
敦の後ろから私も付いてき、再度謝ろうとすると、涙を浮かべながら私達を睨んだあと何処かに走って行ってしまった。
「大丈夫…だよね」
「…判らない」
「あああっエリスちゃん!」
私と敦を闇から救う様なおじさんの意気揚々とした声が聞こえ、思わずズッと頭を下げてしまった。
「大丈夫だったかい。
何処に行っていたのだい。
心配したのだよう。
突然居なくなるから」
エリスという女の子だろう。
写真で見た通りすっごく可愛い。
ホントにどっかで見たんだよな〜。
「急に消えたら、リンタロウが心配すると思って」
「そうだよ心配したよう。
泣くかと思ったよう。
もう泣いてるけど」
「そしたら泣かせたくなった」
「非道いよエリスちゃん!」
サラッと云うなエリスちゃんは。
其処が可愛いから、おじさん今華を散らして両手上げてるのね。
すると後ろから下駄の音が聞こえ、敦が振り返ろうとする前に何かが突進して来た。
「「鏡花ちゃん!」」
私と敦の声が重なり、次は私に抱きつく。
「迎えに来てくれたの?」
「……心配した」
「ありがと「ありがとぉぉぉぉぉ!!大好きだわもう!
元から大好きだけど!!」
あ、これがおじさんの気持ちなのね。
確かに物凄く嬉しい気分だ。
鏡花ちゃんは私の胸の中で痛い、と一言呟いた。
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2キング(プロフ) - 黒九尾*さん» 親の前でいきなり笑ったら凄い目で見られますよね…。私もよくやるので家族から変な人だと認識されてます←更新頑張ります!! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1ed813b825 (このIDを非表示/違反報告)
黒九尾*(プロフ) - メルヘンチックとリアルが全然違って親達の前で吹いてしまった、キャラ達との会話が物凄く面白いです!更新楽しみに待ってます♪ (2017年3月12日 19時) (レス) id: 5efd775a88 (このIDを非表示/違反報告)
2キング(プロフ) - ヲタク様さん» 閲覧ありがとうございます!こちらも引き続き見てくれてとても嬉しいです!応援宜しくお願いします。 (2016年12月26日 13時) (レス) id: 36a5dfc320 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - こんにちは!【元】『ミミミの松』です!見れました!凄く面白いです!これからも応援するので、頑張って下さい! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
2キング - リビリンスさん» 有難うございます!乱歩さんが1番やり過ぎてる感じしてますよね……w私自身、乱歩がどうしてあそこまで行ったのか分かりません←←こんな作者ですが、これからも宜しく御願いします!! (2016年11月14日 16時) (レス) id: 09facf1319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2キング | 作成日時:2016年8月31日 14時