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「試すかね?」
「!?」
急にモンゴメリが震え出し、アンも動かない。
手の力はスッと消え、私はそのまま落ちしまった。
着地すると、足がジーンとなったが多分異常は無い。
それにしても、いきなりどうなって…。
「無理だな。
何故ならば君は既に敗けている。
見るといい」
おじさんが指さした方向に、モンゴメリと私は目を向けると、敦達を呑み込んだ筈のドアから見覚えのある霧が現れた。
その霧から現れたのは、ドアにへばりつく敦がドアの向こうの手に腕力だけで耐えていた。
「どうして__。
ドアは確かに閉まったはずなのに!」
「君の見落としは一つ。
この戦いは最初から二体一だ」
ドアを見ると、歯を食いしばり手を広げた谷崎さんが異能力『細雪』を発動していた。
「ドアが開いた瞬間に、
谷崎さんの『細雪』で扉の映像を偽装した」
「そんな……。
そのうえに部屋へと吸い込む力に腕力だけで抵抗したの?
そんな事出来るわけ」
口を金魚のように動かし、冷や汗を垂らすモンゴメリの前に、私は先刻の続きのように叫んだ。
「アンタは勘違いしてる。
敦には悪いけど、敦は強くても人気者でもなかった。
ずっと一人で孤独の中生きてきた。
だったら、敦は、アンタの事物すっごく判ってる。
私だって組合の話聞いたら、作戦を失敗して欲しくないって思うよ!居場所を失ってほしくない!
でも、敦は弱くて未熟だから、他に方法が思い付かないのッ!」
するとモンゴメリの躰が私に向かって倒れ、遂にそれが露になった。
「これは……!」
「飾帯を君に結んでおいた。
引き込まれる直前に」
私の肩を持つモンゴメリの手を私は優しく離し、口を彼女の耳元まで持ってきた。
「ごめんなさい」
モンゴメリを敦の元へ投げ捨てるように押すと、飾帯を引っ張っていた敦の胸に収まる。
「はっ、
放しなさい!」
「異能を解除して皆を解放しろ。
でないと君を奥の室に引きずり込む」
「そんなっ……!」
「鍵がなければ扉は開かない。
なら君が室に幽閉されれば、
扉を開けられる人数は誰も居なくなる。
そうなってから能力を解除しても君は元の世界に戻れない。
違うか?」
「それは……」
先刻よりも冷や汗が目立つ顔を私に向けた。
モンゴメリはキッと私を睨む。
もう痛くも何ともないよ。
心以外はね。
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2キング(プロフ) - 黒九尾*さん» 親の前でいきなり笑ったら凄い目で見られますよね…。私もよくやるので家族から変な人だと認識されてます←更新頑張ります!! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1ed813b825 (このIDを非表示/違反報告)
黒九尾*(プロフ) - メルヘンチックとリアルが全然違って親達の前で吹いてしまった、キャラ達との会話が物凄く面白いです!更新楽しみに待ってます♪ (2017年3月12日 19時) (レス) id: 5efd775a88 (このIDを非表示/違反報告)
2キング(プロフ) - ヲタク様さん» 閲覧ありがとうございます!こちらも引き続き見てくれてとても嬉しいです!応援宜しくお願いします。 (2016年12月26日 13時) (レス) id: 36a5dfc320 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - こんにちは!【元】『ミミミの松』です!見れました!凄く面白いです!これからも応援するので、頑張って下さい! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
2キング - リビリンスさん» 有難うございます!乱歩さんが1番やり過ぎてる感じしてますよね……w私自身、乱歩がどうしてあそこまで行ったのか分かりません←←こんな作者ですが、これからも宜しく御願いします!! (2016年11月14日 16時) (レス) id: 09facf1319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2キング | 作成日時:2016年8月31日 14時