目を開いて敵を睨め ページ49
『……ありがとね、イルミ』
「料金は後で請求するから」
横たわるカルト。その寝顔には何ら変わりがないが、確かに彼の脳にはイルミの針が埋め込まれているのだ
傷口はAの能力で治された。次に起きた時、カルトはもうこのこと自体を覚えていないのだ
「まさかコイツが針を埋め込まれることを望んでいたとはね」
『子供のままでいることを選んだんだよ』
「正しいと思う？」
『思うわけないでしょ。よりにもよってあたしからの愛を望むなんて』
カルトを抱きかかえて立ち上がる。その重みは眠っているからだろうか
『あたしはクロロに対する以上の愛を知らないし、知ることもない。この子に注ぐ愛は偽物になっちゃうかもしれないんだよ』
「それでもいいよ。……カルトを頼む」
そう言ったイルミを見てAは目を見開いた。そして少ししてから微笑む
『任されたよ、ちゃんと』
そしてAは部屋を出て行った。１人残されたイルミは目を伏せて呟く
「愛、か」
宙づりになった言葉がバラバラになって消えた
※
「……あれ？」
目を覚ましたカルトは身体の中を巡る違和感に眉根を寄せた
しかしそれも一瞬のことで、まだ浮遊感がある身体を起こす
『あ、やっと起きた』
「ボクは……？」
『疲れてたんじゃない？ずっと起きなくてさ。ほら、もうここを発つよ』
「はい」
妙に頭の中がすっきりとしていた。それは清々しい、とも言えるものだし気色悪い、とも言える
『じゃあ行こっか』
「わかりました」
纏めていた荷物を持って車に向かう。旅館から出るときに銀髪の少年とすれ違い、なぜか彼は目を見開いていた
しかしその少年にも、傍らにいる少女にも見覚えはない。ま、いいかと呟いてカルトはAの後ろをついていった
『クロローもう行けるよ』
「そうか」
クロロがそのままコートを翻して歩き出す。あたしもそれに習って歩き出した
――――刹那の殺気
あたしはカルトを前に突き飛ばした。この殺気は覚えている
『……クソ女』
旅館の屋根の上に人影が見える。逆光で黒く見えるその姿、口元だけが歪んで吊り上っているのが見える
その瞬間、オーラの壁があたしの周りを覆った。そのまま浮き上がり、あたしは女の元へと連れて行かれる
『クロロ！先、帰ってて』
そう告げてあたしは深呼吸をする
手のひらの中の焔が暴れている。女を燃やせ、と叫んでいる
「これが最期よ」
そう言った女に向けて炎を投げつけた
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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