元に戻った日常は ページ43
「分かりました。でも１つだけ条件が」
女将は項垂れてそう言った。もう彼女の身体はフェイタンの拷問によって疲れ果てていた
「この敷地から出たら私は死ぬ。それも、醜い醜い老婆となって……それが制約」
「条件ってなんだよ」
隣にいたフィンクスが苛立ったようにそう言った
「残りの力を使えば私は一瞬だけあの美しい肉体に戻れる。この敷地の念も、石の念も、全て解きますから。どうか、私を美しい状態で死なせて」
その狂信的なまでの美への執着を見てフェイタンは眉根を寄せた
「クロロを元に戻してからよ」
「それは出来ないわ。だって念が解除されたら奪った命が私の中から出て行く……」
「ふざけろよ。もっと痛い目見たいってか？」
「だから念は解除するわ。でも解除した瞬間に殺して……」
失望、といった感じで彼女は嘲笑を浮かべた
「醜いこの姿ではあの人の元になんか行けない…………」
フェイタンは舌打ちを打ってから彼女を立たせる。転びそうになった女将の髪の毛を掴んで無理矢理歩かせた
外に出て旅館の入り口に立つ
「森よ、生命よ、止まりし時よ。その呪縛から逃れよ」
女将がそう告げると途端にざわめきが止んだ。風も、それに舞う木の葉の音も、森の中に居るはずの動物も。全ての音が消え去った
「呪解」
その光景を見ていたクロロの心臓が強く脈打つ。あ、と声が漏れた
彼の指先が、腕が、骨格が成長していくのを見てフェイタンは女将に刃を突き立てる
「本日は当旅館にお越しいただきありがとうございました」
命が喪われる瞬間、奪われた命が解放された瞬間。女将は確かにそう言った
若かりし頃のその姿を一瞬だけフェイタンは美しいと、そう思ってしまったのだ
「会える…………」
彼女は絶命した
振り向いてクロロを見てみれば、そこには元に戻ったクロロがいる
「おい、クロロ……いや、なんでもねェ」
「フィン、笑っちゃダメだよ。クッハハハ……」
シャルナークも堪えられない、と言った様子で吹き出した
今までＭサイズの浴衣を羽織っていたクロロ。しかし元に戻った今ではそのサイズじゃ足りないのだ
サイズの合っていない浴衣を着ているクロロは……
『クロロ！元に戻っ……ギャハハ！！！なんだそれ！』
「……部屋に来い。この土地の念は解除されたようだからお前をいたぶれる」
『さーせんした』
それでも満面の笑みを浮かべているAを見てクロロもまた、苦笑いを浮かべたのだった
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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