�ァ� ページ28
Aはそんなんじゃない。男だとか女だとか問題外で、ただただオレの片割れであるだけなのだ。
彼女の足がオレの足に絡んでくる。ピタリ、と冷たい足がふくらはぎに当てられた。
「……冷たい」
『お前も私で暖を取ればいい』
でもAが足を絡ませているせいでオレの足は動かない。何より、足を折りたたまないとオレの足裏はAのふくらはぎにくっつかない。
「オレ、背が伸びちゃったから」
昔は同じ背丈だった。なのにオレだけが伸び続けていつしかAを見下ろすようになって。男であるというのはこういうことなのだとぼんやりと思ったのだ。
体つきだって差がついてしまった。昔は服を共有できたのにいつからかオレはAの服を着れなくなったし、Aはオレの服を着るとだぼだぼすぎて上手く歩けない。
悲しい。悲しい。悲しい。昔は同じだったのに。
オレはAの胸に顔を埋める。そこには女性特有の膨らみがあって、ちょっといけないことをしているみたいで。そういうのを意識してしまうこと自体が嫌だった。
昔はAの身体もオレの身体も同じくらい薄かった。でこぼこなんかどこにもなくて、お互いに筋肉がついたちょっと硬い感触を持つだけだった。
『イルミ』
Aはオレの心を分かってくれる。だからこうして抱きしめてくれる。
『人の形は煩わしいな。魂だけであったならば純粋でいられたものを』
うん、と頷く。肉体は邪魔だ。これがあるせいでオレ達は直に魂を触れ合わすことが出来ない。
時が経てば経つほどにみんな変わってしまう。
昔はAとオレの体は同じだった。キルアは反抗なんてしなくて殺しを楽しんでた。アルカだって力があることが分かってなくて閉じ込められていなかった。母さんは和服を着てた。ゴトーはまだ執事長じゃなかった。アマネは執事見習いだった。
変わるのは嫌だ。変わるのは怖い。
だからAはオレの救いだ。その身は変わってしまおうとも、その精神は不変だ。
「Aは神様だから」
オレがそう望んだから。
「ずっと共に在ってくれる」
オレの為の神様だから。
『ああ、ずっと一緒だ』
残念ながらゾルディック家はAには狭すぎたから今は家にはいないけれど、オレ達は双子だ。母さんの胎の中にいた時は同一であった存在だ。オレとAは切れることが決してない。
深い微睡みに落ちる。ああ、二人だけの空間はなんて心地がいいんだろうとAを抱きしめながら思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
