好々爺の幕間 ページ21
「さて、では話を始めようかのう」
「……ああ」
「そんなに身構えなくてもいいじゃろ。それとも久しぶりにやりあってみるのもいいかもしれんな」
「勘弁してくれ」
ゾルディック家貴賓室。滅多に使われることのないその部屋の中に置かれたテーブルを挟んで向かい合っているソファーにそれぞれ老人が座っていた。
片方はゾルディック家元当主、ゼノ＝ゾルディック。
そしてもう片方がこの自分、アイザック＝ネテロ。
表があれば当然裏というのも存在するもので、本当に時折。先々代の時からゾルディック家という世界最高の暗殺一家の手を借りることがある。
今回も少々厄介な事態が起こりかけており、機密面と実力の両方を信頼出来るゾルディックの力を使わせてもらおうという事だ。
「今回は」
と、口火を切った瞬間だった。
縁に龍の細工を施されている立派な暖炉から何かが勢いよく飛び出してきた。
『やはりここの出口は塞がれていなかったな！』
祖父に良く似た色の銀髪を持った少女だった。まだ齢七つかそこらなのだろう、あまりに華奢な体つきで一目見ただけでは暗殺一家の子などとは到底思えない。
これは何かの余興なのかとゼノを見やるが想定外のことだったらしく僅かに目を見開いている。こりゃ珍しいものが見れたな、とそれを見せてくれた名前も知らぬ少女に好感を持った。
「……A」
『じいさま！…………と、爺？』
爺だ、爺。とぶつぶつと呟きながらこちらをじぃっと……いやこれはさすがに寒いギャグだったか。まあ兎に角こちらを凝視する少女は整った綺麗な顔をしている。
肩までの銀糸、同じように色素が薄く透き通るような青い瞳。暖炉から出てきたせいで全体的に薄汚れているのは愛嬌だろう。
『じいさま、この爺は誰だ？』
「そんなことはお前にはどうでもいい。それよりもまた拷問部屋から抜け出したのか。どうやった？抜け道は全て塞がせたはずじゃが」
『塞がれることすら見越すのが神たる私だ！なに、じいさまにも教えられないが秘密の通路など腐るほど作ってるぞ』
「威張るな」
はあ、と溜息を深く吐いたあたりかなりこの少女には手を焼いているのだろう。無理もない、長年ゾルディックに出入りしてはいるがこのタイプの子は見たことがなかった。
産まれてすぐに泣く暇もなく感情を抑制する訓練を受けさせられるはずなのにこの子には自分の感情が、意思というものがある。
面白いものを見つけた、と心踊ったのは秘密裏のことだ。
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イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
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