�� ページ11
「やあ！キミたち
『キル！見ろ、脳みそパーンが声をかけてきたぞ！』
そう言ってトンパを指さした姉貴の頭を叩く。こいつ、本当に昔から何も変わらない！
ヒクヒクと口角が震えていたトンパだったが、気を取り直したらしくハンター試験常連の“やばいヤツ”を紹介し始めた。
が、
『つまらぬ！蛇使い？鳥にでも食わしとけ！レスラー？単なるトドではないか！同じデブでもうちの弟の方がまだマシだな。三兄弟？埃が三つ揃って何になる！』
ビシバシと姉貴に悪口を言われたヤツらから殺気が刺さる。オレはと言うと、姉貴が騒ぎ始める前にこっそりと逃げた。
あんな雑魚たちに試験を邪魔されるなんて冗談じゃない。姉貴が売った喧嘩は姉貴だけが買うべきだ。
とまあ、再び人混みに紛れたはいいもののどうやって見つけたのかトンパが声をかけてくる。
「キミのお姉さん、なんというか……すごい人だな」
「単なる馬鹿だよ」
「キミも苦労してるんだな……そうだ、これお近付きの印に」
何の変哲もない缶ジュースが渡される。じゃ、お言葉に甘えてと一口飲んですぐに毒入りだと悟った。
なるほど。新人にこうやって声をかけ、親身になる振りをして潰しているのか。つまらない奴もいるもんだな、と毒の効かないオレはごくごくとそれを飲み干す。
「センキュ。オッサン受かるといいな」
姉貴もこれを飲んだのだろうか。いや、あの姉貴のことだから“こんなもの神たる私には似合わぬ！”とか言って受け取りもしなさそうだ。
スケボーを片手に周りを見渡す。やっぱり強いやつはいなさそうで溜息を吐いた。
その時、人間の品性というものが削がれたらこんな声が出るのだろうかという叫び声が聞こえた。面白そうだ、と少し高いところに登ってそれを見る。
「アーラ不思議♡腕が消えちゃった♤」
やばい、と兄貴に鍛えられた本能が警告した。あのピエロみたいな男は殺せないから逃げろと頭の中で声が響く。
「気をつけようね♢人にぶつかったら謝らなくちゃ♧」
『ふん！キミはそれを許してやるほどの器量もないのか』
姉貴！？と叫び掛けて口を手で覆う。あんな奴と知り合いなのか、あの馬鹿は。狂人同士で気が合うのだろうかと冷や汗を流しながら彼らを見続ける。
『久しいな、ヒソカ。一つ言ってやるがそんな服よりかは海藻を身体に巻き付けた方がまだマシだぞ』
ツッコミはそこじゃねえだろ、と心の中で悪態を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 264人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
