AT WILL！ ページ1
それは愉快であり、爽快であり、痛快でもある光景だった。
背丈が２メートルはあるだろう男の巨体がくるりと空中で一回転をした後に、この世の絶対的な理である重力に従って床に叩きつけられた。少しだけ割れてしまった床は大丈夫だろうか。
頭でも打ったのか、男はそのまま白目を剥いて気を失う。男をそんな目に合わせた当の本人は腕を組み、ふんと鼻を鳴らして立っていた。
巨漢を打倒したその人物はそれ以上の巨漢かと問われれば、ノーと答えるどころか真反対だと答えるしかない。
その人は。
足が長く、スタイルが良いため身長は高く見えるが実際は１６０あるかどうかだ。
黒いゴムでその長い銀の髪を一つに結い上げている。
髪と同じ色をした瞳はまるでこの世の全ては自分の物だと言わんばかりに自信に満ちている。
『チンピラ風情かと思いきやチンピラ以下ではないか！いいか、チンピラというのはある程度までなら殴っても蹴っても大丈夫だ。そういう生き物だ！』
そして、少し頭がおかしいらしい。
彼女に倒された男をリーダーとしていた周りの“チンピラ以下”たちは慌てふためき、好き勝手に口汚く彼女のことを罵ってはいるが足や手が小刻みに震えてしまっているのが情けない。
『やあ、まだ歯向かうか！良いだろう。……とでも言うと思ったか？受難とは神に与えられるものではない。神が与えるものだ。キミ達は神か？違うだろう！』
大袈裟に両腕を広げたかと思えば今度は片手を額に当ててみたりと、動作が多い人間だ。しかしふざけているように見えるがその実力は先程見たばかりだ。
『神は私だ！』
ざわめきが止まる。外から聞こえる波が立つ音とそれに揺られる船から鳴る音しか聞こえない。
『さあ、命令だ。神からの命令とは即ち運命。教えてやろう。キミ達は今すぐに海に飛び込んで海獣に怯えながら近くの島まで泳ぐという運命なのだ！』
遂に下っ端の一人が怒鳴り散らした。そのままナイフを構える。仲間である三人も同じようにし、一斉に彼女へと飛び掛かった。
結果、巨漢と同じように彼らも床へ転がされた。邪魔だったのか、彼女は男達を積み上げて船内にあった非常用のロープで纏めて縛る。
『おい、キミ！』
いきなり話しかけられたので身を固くした。
『この海域は今日は粗大ゴミの日だろうか？』
首を傾げた彼女の名を、オレはまだ知らない。
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イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
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