CALL BACK！ ページ36
「A」
『イルミか。どうした？そろそろ変装せねばならぬだろう。それかもうキルに正体を明かすのか？』
「直前に姿を変えた方がショックだってことはお前の黒髪でもう知ってるからね。キルに声をかけた瞬間に変装は解くよ」
『はっはっは！お前はずっと根に持つなあ。あの私も中々に美しかった。また黒髪になってみるか！』
は？と真顔で首を傾げてみればAはオオ怖いと大袈裟に肩を竦めた。この様子だと反省などしていないのだろう。
黒髪のお前を見た時、どれほどオレが悲しくなったかなんてきっとお前には一生分からないのだ。それがお前だ。オレの為に神になった、高慢で高潔で何者にも冒されることのないお前だ。
「オレはキルアを連れ戻すよ」
『……ああ』
「邪魔なんてしないよね？」
『正直に言うと、分からん』
Aは窓を背にし、壁に寄り掛かって腕を組んだ。
『この試験であの子の心はある程度透けて見えた。だから今回の“家出”私としては認めないつもりだ』
「なら」
『しかし、しかしだ！もしもキルが家出するということの意味を知ったならば……』
私達を、兄弟を。捨てる覚悟を本当に持てたのなら。と彼女は苦しみを絞りながら言った。
『その時は全力であの子をサポートしよう。どんな手を使ってでも逃げさせてみせる。たとえそれで再びお前に追われることになったとしても！』
どうして、なんて聞けやしなかった。その理由は六年前に痛いほどに思い知らされた。
『それが家出を許されている私があの子にやってやらねばいけないことだ』
「その時になったらオレは容赦しないよ」
『ああ』
オレはもしかしたらAと敵対しなければならないかもという覚悟が決まったふりをして内心では嫌だなあと思っていた。
だってお前と敵対していた二か月間はとにかく必死で、苦しくて、まさに地獄のようだった。今回はもしかしたら二か月以上かかるかもしれない。
何か言わなくちゃ、と思って口を開きかけた。と、その瞬間に館内放送が入る音がした。
どうやら次の試験の為の面接を開くらしい。タイミングが悪いことにAの名が呼ばれた。
『では私は行くぞ』
「うん」
『そんな顔をするな。まだ敵対すると決まったわけではないだろう。むしろ私の見立てではその確率は低いよ』
そう言って去っていくAの背中は１７歳の時と変わってはいなかった。
オレはどうなんだろう、と少し考えてから変装の為に針を刺す。
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イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
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