平生、時々奴 ページ32
「やあ」
扉がノックもなしに開かれた。蝶番がもう錆びているそれはざらついた音を発しながらぎこちなく訪問者を受け入れる。
廊下に差し掛かるまでこちらに気配を感じさせないその実力には舌を巻くほどだ。まあその位の力が無ければ従わないのも事実だが。
「珍しい。団長が直接来るてことは何かあたか」
仕事の連絡だとは聞いてはいたがこうしてクロロ本人が来ることなど滅多にない。通常ならばマチやパクノダ、シャルナークなどの代理を立てて連絡を寄越すのだが。
仲間に知られたくない内密の作戦でもあるのか。
「ああ、そんな身構えなくていい」
「そうか」
「仕事の話だ。九月一日にヨークシン、暇なら来い」
「わかた。行くよ」
どうせ殺して盗っての毎日だ。
時折、どうやって居場所を探っているのかは知らないがAが唐突にやってくるが、あれは嵐のようなもので放っておけば何処かに行く。
勝手なのだ。人のテリトリーに入り込んで新しい拷問器具や嗜好本を紹介していったりあいつの暇潰しに付き合わされたりする。
あれは三年前だったか、急に飛行船に乗せられてと有名な独裁国家で降ろされたかと思ったら「ここの軍隊を壊滅させろ」とだけ言われて奴はさっさと何処かに行った。仕方なし、自分のことを侵入者だと勘違いした軍隊が攻撃してきたのでやり返して壊滅させた。
結果。国ごと壊滅した。
あいつが終わらせたのだ。理由？奴は「この国は気に入らぬ！道は歩きにくい、飢えのせいで民が民を食う！そして君臨するのは驢馬との交配種のような愚鈍な男だ！」とかなんとか言っていた。
つまり、そう。そういう奴なのだ。
「……Aか？」
「あ？」
「お前がそんな目をするのはあいつの事を考えてる時だけさ」
「あんな腐た卵が脳に詰まてる女、考えるだけでこちも腐るよ」
「相変わらずだな、お前らは」
くく、とクロロは喉で笑った。お前がそんな風に笑うのも奴関連のことだけだと言ってやろうかとも思ったがどうせ十倍にして言葉を返してくるのだ。黙っていた方が吉だ。
「…………ああ、面白そうだ」
何が、と聞く前にクロロは席を立った。依然として楽しそうな雰囲気を漂わせる彼を見ていると軽く嫌な予感がした。
「じゃあヨークシンでな」
嗚呼、と返事をする前にクロロは扉の外へと姿を消した。そんな勝手なところは奴に似ている。
そういう人種になんだかんだ振り回されてしまうのだと溜息を吐いて硬いソファーに寝そべった。
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イチゴ(占ツク引退済み、現在はフォレスト＋）(プロフ) - 伊波トウナさん» ありがとうございます。現在はフォレストプラスというところで連載をしており、私のプロフのホームページ欄にURLがございますので、そちらを参照していただければ幸いです。 (2023年4月26日 15時) (
レス) id: a1afa45e22 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - すごく面白くて続きを探そうと思ったのですが、サイトの方で作品が見つかりません。検索ワードはどのようにしたら続きが出てくるのでしょうか？ (2023年4月18日 19時) (レス) @page38 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
みょみょ(プロフ) - 最高 (2022年8月29日 16時) (レス) @page38 id: e964d8a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - いえいえ、事前にお知らせいただいたとおり書いてくださったのでとても嬉しいです。実を言うなら題名で読むことを即決したらイチゴさんだったんです。(前もこんなだったような……) 夢主もイルミも変わらずで安心感すら抱いてます(笑)更新、楽しみに待ってますね。 (2019年3月6日 22時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - 南雲藍琉さん» いつもありがとうございます！すぐに反応してくださって感動しています。長らくお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした (2019年3月3日 23時) (レス) id: 4095736d8a (このIDを非表示/違反報告)
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