母でなく。 ページ46
「さあお部屋にお戻りくださいませ。御子様たちはツボネが見ておりますから」
「私の子なのです」
「ええ」
「イルミは銀髪ではないけれど！Aは男の子ではないけれど！跡継ぎにはなれないけれど！！私の大事な、大事な……」
正直に言ってしまいます。私はキキョウ様のことが苦手でした。だからと言って執事業に手を抜くということは一切ありませんでしたが。
ただ、この時ばかりは母としての痛いほどの思いが分かってしまったのです。
「奥さま。御子様たちは片方が泣けば片方がお手を握り、あやしていらっしゃいます」
「え」
「加えてこのツボネ、責任をもって御子様たちを見守らせていただくことをここに誓いますわ。奥さまはどうかこの後御子様たちと触れ合えるように今はお身体をお休めになさってくださいませ」
キキョウ様は僅かばかりふらつきながらも立ち上がり、歩いて扉の前に立ちました。
「頼みましたよ」
「はい」
「ミルクには手始めにドクダミとヒガンバナをすり潰したものを入れて徐々に量を増やしてちょうだい。それから一日一回５分間１ボルトから電気を浴びせて耐性をつける準備を」
「……はい」
前言撤回。やっぱりこの奥さまのことは苦手かもしれないねえ。そうこっそり心内で呟いたのは誰にも言っていない秘密だ。
そしてA様はお父様に似て切れ長の瞳に美しい銀髪を持つ少女に、イルミ様はお母様に似た光の下でも透けぬ黒髪、そしてその色の瞳を持つ青年に育った。
性格の面でもどこかイルミ様は奥さまに似ていて苦手だよ、と内心で舌を出す。A様はゾルディックに似合わぬ明るい気質をお持ちだ。
『クソのような老婆だな！略してクソババアだ！』
お口が悪いのは玉に瑕というやつかしら。顔をずいと近づけて微笑めばお嬢様は失礼にも息を詰まらせたが臆することなく睨み返してくる。
『そうだ、お前の孫とやらに会ってきたぞ』
「アマネにでございますか」
『ああ。気に入ったから私の側近にした！』
「え？」
『いくら煽っても忠誠心故に、執事足りうる為に自我を押さえつけた。中々できることではないぞ』
いつの日か、先代ゾルディック家主に見出された日のことを思い出されました。
そう、あの子も仕えられる喜びを知ったのか。
「光栄にございます」
『ふん、私が褒めたのはお前ではない。アマネだ！』
「ほほほ、そうでございますね」
その無邪気な神様は今日も世界を生きていらっしゃるのです。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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