ARE YOU READY？ ページ47
「もしもし？」
イルミにしては珍しく少しだけ焦っているような声音だった。とは言っても私にくらいにしか分からないような極微妙なものだったが。
家出してから早６年が経とうとしていた。驚くべきことに私は今でも「家出」を認められている。
「キルアが家出した」
『……ほう』
「母さんの顔とミルの脇腹刺したんだって。オレも親父もじいちゃんもちょうど家にいなくてさー。やられた」
『私の時よりも随分と過激だな。しかしイルミ、軽率な行動を取ったな。もしも私がそのキルアの協力者だったならばどうする』
「え？」
ありえないでしょ、と当然のことを当然だと言い張る時の自信の持ってイルミは言った。
「キルアの家出が成功したとして、一番困るのはAだよね？」
『……正解だ。脳みそは冷えているらしいな。協力しよう』
私と同じ銀髪のゾルディックの子。それが示すのは次期当主となり得る権利を有するということだ。
私の家出が認められたのも、自由に生きていられるのもキルアという確固とした次期当主の存在が大きかった。キルアが世界に出てあの才能の元で成長していったらもう誰も彼も家に戻せはしないだろう。
その時、私の自由は失われる。
「試すなんて酷いよね」
『すまない。私の時、お前は頭に血がのぼりすぎていたからな』
「今回は大丈夫だよ」
キルアの家出の理由など凡そ予想がついていた。あの子の動機は私とは異なるものだ。
「だって確実に連れ戻せるから」
私は基本的には弟達に優しくしている。だが甘やかしていた訳では無い。
キルアが決意を秘め苦肉の策を練った上で家出したと言うのならば。ゾルディックを捨てたと言うのならば、私は彼のことを全力でサポートしよう。
だが、恐らく違う。本人に会ってみないことには確定出来ない事柄ではあるが、それでも私は今のところ彼の家出を許すつもりは無い。
『逃走先は』
「今ミルキに調べさせてる。場所が分かったらまた連絡するから準備しておいて」
『ああ。そういえば母者君もミルキは大丈夫なのか？』
「うん。母さんは顔が包帯でぐるぐるだけどミルは脂肪があったから」
『弟に刺されるというのも情けない話ではあるがな……気の毒だが致し方ない。ミルキの修行を厳しくしろ』
「そのつもり」
じゃ、と短い文言を最後に電話は切られた。携帯電話をポケットにしまい、深く息を吸う。
生意気な銀の弟を思い浮かべて、自分の髪を梳いた。
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だいふくさん(プロフ) - 展開、夢主ちゃんの念能力の設定とても凝っていて凄いなと思いました。クロロの頭目らしい余裕ある思考や振る舞い、フェイタンの少し不器用なところがたまらんです。イチゴさんの文章がとても好きです（語彙力無くて上手く表せないのですが）。これからも応援しています (2019年1月31日 21時) (
レス) id: e941665527 (このIDを非表示/違反報告)
コンパイルエラー(プロフ) - 続きが早く読みたい！ (2019年1月21日 14時) (レス) id: 8e7827f170 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 楽しみに待ってます！ (2018年10月21日 19時) (レス) id: 2f8f38bf2c (このIDを非表示/違反報告)
南雲藍琉(プロフ) - 続編、それも原作沿いとわかり、狂喜乱舞しております。主の性格も、回りとの関係性も大好きなのでとても嬉しいです。3月４月？勿論待ちますとも。イルミとクロロとの会話でニヤニヤしました。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 2e644448cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀くん(プロフ) - 復帰楽しみに待ってます。イチゴさんの作品は全部好きで読ませてもらってます。この作品も大好きです。続きが読める日を楽しみに待ってます！ (2018年10月7日 14時) (レス) id: 2f4db1a1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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