40 ページ41
noside
部屋の中には白い機械と、その中に埋もれるように横たわっている1人の女性。思わずコタロウが固唾を呑む。すると、2人のインカムから砂嵐が流れる。ほんの一瞬、2人の意識が目の前から逸れた。
ガシャン
大きなと言うには不似合いな、けれども部屋に響き渡るには充分な音が鳴る。
｢名高イマフィアノ方々ニシテハ警戒心ガ薄イノデスネ｣
青｢っ、はめられたって訳ね｣
桃｢チッ｣
ケイイチロウとコタロウの前には、どこからともなく現れた銃が構えられていた。
｢アノ子ハ、月明カリハ、私タチノ希望ナノデス。貴方ガタニ、イツマデモ貸シテアゲラレル訳デハナイノデス｣
機械音で文章が読み上げられる。コタロウが歯ぎしりをする。
桃｢誰が、誰を、“貸シテアゲラレル”だって、？｣
青｢コタロウ、やめ、｣
桃｢子供は親の所有物じゃないんだよ！！｣
｢ソレヲ決メルノハ、アノ子デス｣
桃｢サツキが望んでるとでも思ってんの！？｣
｢アノ子ハ選ビマスヨ。トテモ、優シイ子デスカラ｣
桃｢てっめぇ、｣
青｢コタロウ、やめとけ｣
怒鳴るコタロウをケイイチロウが宥める。だがケイイチロウも相当苛立っている様で、インカムを指で何回も叩いている。
青｢我々を、交渉材料にするおつもりですか｣
｢エエ、モチロン｣
桃｢ふーん、随分高く見られてるんだね｣
｢アノ子ハ優シイデスカラ｣
あくまで敬語を使うケイイチロウと、もはや苛立ちを隠さないコタロウ。そんな会話は長くは続かなかった。
ガチャ
黄｢ボス、コタロウ……！！｣
赤｢はぁっ、階段、キッツ、｣
緑｢どういう状況、？｣
リョウガに背負われたサツキと、その後ろから部屋の中を覗くミナト。また新たな銃口がミナトとリョウガに向けられる。
黄｢リョウガ、降ろして。もう大丈夫だから｣
赤｢ん、｣
ストン、とリョウガの背から降りたサツキが1歩、2歩と横たわっている女性に近づく。
｢選ビナサイ、月明カリ。己ノ自由カ、仲間ノ命カ｣
黄｢そんなの、もちろん、仲間の命だよ｣
桃｢サツキ！？｣
赤｢何言ってんだよ！？｣
思わず叫ぶ2人を尻目に、サツキはまた1歩女性に近づく。
黄｢だから、みんなに向けている銃を降ろして？｣
そう笑いかけながら言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nana(プロフ) - 分かりました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。 (2021年7月30日 16時) (
レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
珠乃(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。とてもいい案だと思ったのですが、自分が考えている設定と矛盾する点が出てきてしまうので、申し訳ないのですが……。ご期待に添えず申し訳ありません。稚拙ではありますがこれからもご愛読していただけると幸いです。作者より (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3737864907 (このIDを非表示/違反報告)
N - 案なんですけど番外編とかで新メンバーを作ってその新メンバーがボスを追い詰めて「殺さないから一人の僕を仲間にしてほしい」というそれで仲間になる。みたいなやつどうですか？ (2021年7月10日 20時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：珠乃 | 作成日時：2021年4月8日 16時
