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no side 地下室

胸からサーベルを引き抜く。ゴポ、と濁った音が命の口から溢れる。鼓動を止めた心臓は赤く染まった。

黄「、、、うぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

ボタボタと大粒の涙が命の顔を濡らす。サツキは泣きじゃくった。まるで、お気に入りのおもちゃが壊れた子供のように。駄々をこねる子供のように。

黄「ごめんね、ごめんね、」

命の頬を包んでうわ言のように何回も何回も呟く。願い事をする子供のように。

緑「サ、ツキ、?」
赤「サツキ!?」

突然、聞き慣れた声がサツキの耳に入る。目を丸くしたサツキが、ゆっくりと顔を上げた先にいたのはミナトとリョウガだった。

緑「っ、怪我!応急処置しないと!」
赤「大丈夫!?」

べっとりと着いた血に顔を青ざめながら駆け寄る2人。目を丸くしていたサツキは、また顔をクシャと顰めた。

黄「違う、違う、僕じゃない、僕は怪我してない」
緑「……、その人は?」
黄「僕の、唯一の、友達」

リョウガがそっと命の首筋に触れる。ミナトにチラリと視線を向けて小さく首を振った。

緑「そ、か。サツキ、頑張ったね」
黄「救えなかった、こんな方法でしかっ」
緑「それでも『救えた』んだよ」
黄「もっと、もっとっ、」
緑「うん、生きてて欲しかったね___」
黄「___ゔぁぁぁぁあああ」

サツキの嗚咽が地下室に木霊する。神を呪う呪詛のように、友を思う祈りのように。

赤「サツキ、、」

ミナトの肩に顔をうずめるサツキの頭にリョウガが手を置く。

黄「もうちょっとしたら、落ち着くから」
赤「無理しなくていいよ。まともに休息取ってないでしょ」
緑「とりあえず大きな怪我はないみたいだけど、擦過傷やら打撲やら見受けられるから、手当はしなきゃ」

サツキをリョウガに渡して、持ってきている荷物から消毒や包帯を取り出すミナト。

黄「リョウガ、背負って貰える?」
赤「どっか行きたいの?」
黄「手当終わってからでいいから」
緑「どこ行きたいん?」
黄「母親がいるところ」

そう告げたサツキの瞳は乾いていた。

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nana(プロフ) - 分かりました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。 (2021年7月30日 16時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
珠乃(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。とてもいい案だと思ったのですが、自分が考えている設定と矛盾する点が出てきてしまうので、申し訳ないのですが……。ご期待に添えず申し訳ありません。稚拙ではありますがこれからもご愛読していただけると幸いです。作者より (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3737864907 (このIDを非表示/違反報告)
N - 案なんですけど番外編とかで新メンバーを作ってその新メンバーがボスを追い詰めて「殺さないから一人の僕を仲間にしてほしい」というそれで仲間になる。みたいなやつどうですか? (2021年7月10日 20時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珠乃 | 作成日時:2021年4月8日 16時

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