22 ページ23
in空 noside
緑「1hit」
口笛を吹くようにミナトが呟く。その声はキヨハルには聞こえなかったようだ。次の弾を装弾している。また、銃声が響いた。
緑「2hit」
唄うようにミナトは呟く。段々とキヨハルが撃つペースが速くなる。空中にいることが信じられない程、キヨハルの狙いは完璧だった。
緑「ええやん、花火みたい」
少し愉しそうにミナトは笑った。キヨハルが全て弾を撃ち終わる。銃を下ろして息をつくと、途端に目を見開く。
紫「うわ!?高っ!?」
緑「なんでや。さっきまで余裕やったやん」
紫「それはそうやけど!」
ミナトはしがみついてくるキヨハルに溜息をついた。そのまま運転手に合図を送る。ドアが閉まり、体が傾く。
紫「まだどっか行くん?」
緑「帰るだけだよ」
恐る恐る聞いてくるキヨハルに笑いながら返す。ヘリコプターはまた屋上へと戻った。
in9区アジト
紫「死んだかと思った」
緑「大袈裟すぎ」
ヘリコプターを降りるなり息を着くキヨハル。そんなキヨハルを見上げてミナトは言う。
緑「で?わかったん?」
紫「……なんと、なく」
的を得ないキヨハルの言葉に、まぁええか、とミナトは頷く。帰ろうと、キヨハルに背を向けた時、後ろから声をかけられる。
紫「でも、俺は諦めへんよ」
ミナトが振り向けば、キヨハルはじっとミナトの顔を見返す。そこには確かに光があった。
緑「……好きにしたら?」
それだけ言い残して、ミナトはまた前を向く。後ろからキヨハルが追いかけてくる音が聞こえる。ミナトは思う。どうして、と。いつの間にか横に並んでいたキヨハルを横目に、ミナトは小さく呟いた。
緑「なんで自分から堕ちてくねん」
純粋に、ただひたむきに、闇の中に光を見つけようとするキヨハル。仲間のために自ら堕ちていくその姿は、ミナトにとって目を背けたくなるほど眩しかった。
50人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nana(プロフ) - 分かりました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。 (2021年7月30日 16時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
珠乃(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。とてもいい案だと思ったのですが、自分が考えている設定と矛盾する点が出てきてしまうので、申し訳ないのですが……。ご期待に添えず申し訳ありません。稚拙ではありますがこれからもご愛読していただけると幸いです。作者より (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3737864907 (このIDを非表示/違反報告)
N - 案なんですけど番外編とかで新メンバーを作ってその新メンバーがボスを追い詰めて「殺さないから一人の僕を仲間にしてほしい」というそれで仲間になる。みたいなやつどうですか? (2021年7月10日 20時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:珠乃 | 作成日時:2021年4月8日 16時