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inキヨハルroom キヨハルside
紫「はぁ……疲れた……」
ため息をついて愛用してるヨギボーに倒れ込む。想像してたよりずっと書類の量は多かった。
紫「あの量はおかしいやん……」
しばらくヨギボーに体を預けてたけど、体を起こす。そのままスマホに手を伸ばして、見覚えのある名前を探しだした。
紫「リョウガ、リョウガ、あ、あった」
数コールで途切れる呼び出し音。
赤「……、キヨハル?何?」
凄く眠たそうなリョウガの声が聞こえる。苦笑いしながらも要件を伝える。
紫「お疲れのところ悪いんやけど、1つ、仕入れて欲しい物があるんよ」
赤「ミナトに言ってよぉ〜……」
紫「それも考えたけど、仕入れの総括はリョウガやなと思って」
赤「んー、わかったぁー。メッセージ送っといて、明日見るから」
紫「早めに頼むわ」
赤「わかった……。おやすみ……」
紫「おやすみ」
ツーツーという音を聞いてスマホの画面を切り替える。
紫「あれはだいぶ疲れてんなぁ」
タタッとタップ音を響かせながら、リョウガへのメッセージに目当てのものを送る。
紫「送信完了、と」
ふぅー、と息をつきながらまたヨギボーに倒れ込む。天井の照明に自分の掌を掲げてみる。なんて事ない、普通の手。
紫「やけど、俺の手は、汚れてる」
今まで何人も殺してきた。命を奪ってきた。今更、殺すのが怖いなんて戯れ言だ。もう指に染み付いて離れない、狙撃銃の引き金の感触。スコープ越しに見る砕け散る頭。仲間がつけて帰ってくる敵の返り血。
紫「やのに、現場に出れへんとか。……笑えんわ」
手を伸ばしたまま、ぎゅっと手を握り込む。この世界に入ってから、人を殺すのに躊躇することはなくなった。人を殺すことも、殺されそうになるのも、日常になった。
紫「っ!なんでっ!」
目が熱くなる。掌に爪がくい込んだ。
紫「なんで、俺は、こんなに弱いんや……」
ポツリと呟いた言葉は虚空に消えていった。力を抜いて腕を下ろす。
紫「もう、安全なところから撃ち込むだけは、嫌や……」
どっと疲労が湧く。そのまま睡魔に身を任せて瞼を閉じる。
明るい照明は浅い眠りへとキヨハルを導いた。
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nana(プロフ) - 分かりました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。 (2021年7月30日 16時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
珠乃(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。とてもいい案だと思ったのですが、自分が考えている設定と矛盾する点が出てきてしまうので、申し訳ないのですが……。ご期待に添えず申し訳ありません。稚拙ではありますがこれからもご愛読していただけると幸いです。作者より (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3737864907 (このIDを非表示/違反報告)
N - 案なんですけど番外編とかで新メンバーを作ってその新メンバーがボスを追い詰めて「殺さないから一人の僕を仲間にしてほしい」というそれで仲間になる。みたいなやつどうですか? (2021年7月10日 20時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:珠乃 | 作成日時:2021年4月8日 16時