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サツキの独白

物心ついてから1番最初にある記憶は、白い服を着て、母親に連れられている僕を見て、ひれ伏す大人達。その様子がおかしくてちょっと笑えば、どこからともなく歓声が湧く。

「まるで天使の微笑みだ!」

子供ながらに滑稽だと思ったのを覚えている。理由なんて分からなかった。ただ純粋に、自分の前に大勢の人がひれ伏しているのが、面白くて堪らなかった。

学校なんてものには行かなかった。読み書きも何もかも、教会の中でやらされた。それがおかしいなんて思いもしてなかった。自分の名前でさえ、おかしいと思わなかった。閉鎖された鳥籠の中で僕は育てられていた。

「【月明かり】、貴方はいずれ人々の上に立つのです。そのために沢山のことを学びましょうね」

母親から耳にタコが出来るくらい聞かされた言葉。優しく笑う母親の笑顔に、嫌悪感を覚え始めたのはいつ頃だっただろうか。ああ、思い出した。あれは、ちょうど15歳になった時。僕は見てしまった。

「ど、どうか、お慈悲を、」
「お金が無いのなら、貴方に渡すものはありませんわ」

膝をついて請う信者に、冷たく言い放つ母親。知ってしまった。この教会の本当の姿を。金の為に悪魔のように人を突き落とす、邪悪な一面を。

それから母親の言葉は全部綺麗事だったと気付いた。あれは、聖母でもなんでもない、ただの金の亡者だった。それに気付くには遅すぎて、どうしようもなく月日は流れていった。

そんなある日、賊が入った。心配するなと奥の部屋に押し込められた。それから待って、待って、待ちくたびれた時、部屋のドアが開いた。

その時僕は王子様を見た。光に反射して輝く髪に、吸い込まれそうな瞳、ハッキリした目鼻立ち。返り血すらも気にならない程、美しいと思った。

黄「僕を攫って」

そんな言葉が口から出ていた。王子様は一瞬目を見開いたけど、僕に手を差し伸べて言った。

青「喜んで」

それから『月明かり』の名前は捨てた。少しでも馴染みのある名前がいいと言われて、『サツキ』に変えた。この世界で生きるための知識も、戦闘力も、話術も身に付けた。

僕はちゃんと過去を捨てられた。はずだった。

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nana(プロフ) - 分かりました。ありがとうございました。これからも頑張ってください。 (2021年7月30日 16時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)
珠乃(プロフ) - Nさん» コメントありがとうございます。とてもいい案だと思ったのですが、自分が考えている設定と矛盾する点が出てきてしまうので、申し訳ないのですが……。ご期待に添えず申し訳ありません。稚拙ではありますがこれからもご愛読していただけると幸いです。作者より (2021年7月21日 23時) (レス) id: 3737864907 (このIDを非表示/違反報告)
N - 案なんですけど番外編とかで新メンバーを作ってその新メンバーがボスを追い詰めて「殺さないから一人の僕を仲間にしてほしい」というそれで仲間になる。みたいなやつどうですか? (2021年7月10日 20時) (レス) id: 4abcb9df84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珠乃 | 作成日時:2021年4月8日 16時

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