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STORY☆71 ページ21

『ねぇ、ゾム』
その声に俺が一瞬怯えたのを、きっとAちゃんは見逃さなかったんだと思う。
"やっぱり私は行けない"そう言って欲しいと願う反面、その一言を言われるのが怖いと思う俺も居て、多分それが顔に出たんだと思う。
俺が振り返ればAちゃんは俺の顔を見た後首を振って、
『名前呼んで』
そう言うから思わず握っていた手の力を緩めてしまった。
これが最期なんだって現実を突き付けられて、本当にこのままAちゃんを連れて行っても良いのかとか、考え出したら止まらない。
だけどAちゃんは俺にしがみついて、
『ゾムと一緒なら何処だって怖くないよ』
優しい声で言うから、俺よりもAちゃんの方がずっと強かった。

手を繋いで前のめりに体重を掛け、2人で冷たい海に身を沈める。
いつまで目を閉じていたのか分からないけど、目を開けば何処までも続く暗闇。
痛いとか苦しいとか寒いとか…そんな感情は一切無い。
zm「……Aちゃん?」
繋いでいたはずの小さな手も安心する温もりも俺の元には無くて、俺は辺りを見渡すけど真っ黒な世界が邪魔をして見つけられない。
zm「Aちゃん……っ、Aちゃん!」
此処が何処なのか分からない。
Aちゃんも何処かに居るのか、俺しか居ないのか。
zm「……Aちゃん、何処や」
本当に1人になったんだと思う。
きっとバチが当たったんだ。
Aちゃんを与えて貰ったのに、そのAちゃんをこんな場所に連れて行こうとした俺に、神様は怒ってるんだ。
途端に感じなかった痛みと苦しさが押し寄せて来て、冷たい空気が俺の体まで凍らせていく様にその場から動けない。
zm「…Aちゃん……何処に居るん」
情けない声が零れ出した時、
『ゾム!』
その声を聞いたら動けなくなっていた体は俺の意思を取り戻して、顔を上げれば一筋の光が見え俺はその光の元に歩き出す。
光に近付いて行く程に温かくなっていき、辿り着いた先に居たのは大好きな君だったんだ。

zm「やっぱりAちゃんやった」

バッドエンドのその先で、見つけた光は君だったんだ。

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作品ジャンル:恋愛
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです!読むはじめて損しませんでした!テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます!もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています! (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます!私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(;;)!更新頑張りますね!ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:呉城 莉李。 | 作成日時:2022年9月22日 12時

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