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STORY*70 ページ20

ゾムと私の家も、学校も、遊園地も、夏祭りに行った公園も…全部が見渡せる眼下に海が広がる丘の上の公園。
"危険 立ち入り禁止"と記された看板を無視して2人で柵を乗り越え、数十mの高さのある海を上から眺める。
これから冷たくて先の見えない暗い場所に行くのに、不思議と怖くない。
『ねぇ、ゾム』
私の呼び掛けにゾムは視線を向けて、口には出さないけど"今ならまだ間に合うで"と私に瞳で訴えてくるけど、私はゾムの訴えを無視する。
『名前呼んで』
ゾムは握っていた私の手を少し緩めて、
zm「Aちゃん」
優しい声で私の名前を呼ぶから涙腺が崩壊しそうだ。
『もっと呼んで。ゾムの声、忘れない様に』
zm「…Aちゃん。Aちゃん。…A」
私はゾムにしがみついて、そんな私の頭をゾムは撫でてくれる。
暖かいこの声も温もりも仕草も…全部冷たくなる前に焼き付けるの。
もう泣かないよ。
…でも、海の中は泣いててもバレなそうだから、たまにはこっそり泣くかもしれないけど、それでもそれは後悔の涙なんかじゃないって事は覚えておいて。

zm「…ホンマにええんか?」
『良い。ゾムが嫌って言っても私聞かないから』
zm「言わんよ。俺Aちゃんの事離さへんで?」
『うん。…離さないで』
ぎゅっと繋いだ手の力がお互い強くなって、
zm「Aちゃん。好きや」
『私もゾムが好きだよ』
最期のキスをしてから2人で海に身を投げ捨てた。

私には足りない物が多くて、ゾムの隣にずっと居るには相応しく無いかもしれない。
でも、そんな私をゾムは離さないと言ってくれた。
私の選択は賞賛されるものじゃ無いし、家族や友達を悲しませる。
規律を守って生活している人に怒られると思う。
だけど私は、例え世界中の全員に嫌われたとしても、たった1人ゾムが私の事を好きで居てくれたらそれだけで良い。

足りない色はバッドエンドで一緒に見つけて。

迎えた結末がバッドエンドでも、2人なら幸せなんだって私達が証明しよう。


『やっぱりゾムは温かいね』

バッドエンドのその先は、孤独で冷たい暗闇なんかじゃなくて、温かい君の隣でした。

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作品ジャンル:恋愛
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです!読むはじめて損しませんでした!テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます!もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています! (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます!私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(;;)!更新頑張りますね!ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:呉城 莉李。 | 作成日時:2022年9月22日 12時

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