STORY☆69 ページ19
『ゾム！』
君の声が聞こえた気がして振り返った先には気の所為ではなくて君が居て、俺の元に真っ直ぐ走り寄ってくる君を今すぐにでも抱きしめてしまいたかった。
zm「何で来たん？帰りや」
君への好意を全て隠した冷たい瞳で睨みつければ、君は俺への好意を溢れさせた瞳で
『帰らない。ゾムが好きだから来たの』
俺だけを映し出してそう言うんだ。
zm「俺の事好きで居ったって意味無いやん。俺は先に居なくなるんやから…」
『先になんて行かせたくないから来たんだよ！』
俺が言い終えるのと同時に口を開いた君の声は、怒っているのに震えていて…泣いているみたいだった。
きっと君には俺の考えていた事なんてお見通しで、だからいつの間にか俺が求めてしまっていた言葉をくれるんだ。
だけど、俺はそれを口にしてはダメだ。
俺が勝手に君を巻き込んだ。
君は一緒にこの物語を閉じようとしてくれるけど、やっぱりこれは俺1人で終わらせないと意味が無いんだ。
zm「…っ、Aちゃんはこんな所から出て、他の奴と恋して幸せになったらええねん」
震えるな。最後まで言いきれ。
zm「この先俺なんかよりよっぽどええ奴が現れる。まだ高校生なんやから、この先沢山の出会いがあんねん。俺なんかのせいで終わっていい人間じゃないんよ、Aちゃんは」
俯いたまま何も言わなかった君は顔を上げ、そして俺の頬を両手で包んで口を開く。
『私はゾムの隣じゃないと幸せを感じられないんだよ！
ゾムが笑ってくれないと笑い方も思い出せない。
ゾムが居ないと上手に息も吸えないんだよ…』
力強く言ったものの後半は弱々しくて…そんな君を前にして泣き出しそうになったのは俺も同じなんだよ。
『ゾムが居ないと私の世界はモノクロになるの。全部の色が私の前から無くなって、全部霞んで見える。
そんな世界で生き続けるくらいなら、もう終わって良い。
ゾムが私に一生分の幸せをくれたんだよ。だから、もう良いの』
良いわけない。
俺を諦めたら君にはこの先も続いていく道があって、その中の俺は過ぎ行く1人でしか無いんだ。
もう一緒になんて歩めない。
なのに…俺はまたこの小さな体を引き寄せてしまったんだ。
zm「…何で見つけんねん。1人で終わらそうと思っとったのに」
『見つけるに決まってるでしょ？
だって2人で始めた恋だもん。2人で続けようよ』
1人で幕を閉じようとしていた物語に君が現れた。
この結末がどんなに悲しくても、隣にAちゃんが居てくれるなら幸せなんだよ。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
