【wrwrd】バッドエンドのその先で。【zm】

STORY＊68 ページ18

団長から渡された1枚の写真は文化祭の時のもの。
いつ撮ってくれたのか分からないけど、そこに写っているゾムと私の表情は幸せに溢れていて、誰が見てもお互いの事を好いているのが伺えるくらい、優しい表情を浮かべて微笑みあっている。
ゾムは本気で私を突き放そうとしている。
ギリギリまで私との関係を引っ張って、突然姿を消して私に幻滅させて…そうやって自分を最低な男に仕立て上げて、私の中にあるゾムへの気持ちを無くそうと思ってるんでしょ？
本当にゾムはバカだね。
私はゾムに何をされても何を言われても、もうゾムを好きになる前の私には戻れないんだよ。
団長からゾムの居場所を聞かなかったのは、私の最後の強がりで意地だ。
そこに居るって確認なんて無いけどゾムがそこに居てくれる様な気がするから、私はその場所に向かって走った。

『もしもし。A？』
「A！ゾムくん見つかった？」
『ううん。でも必ず見つけるから』
息の上がった状態で話す私の言葉は聞き取りづらかったと思う。
だけど今言わないと。
今日言わないともう二度とAと話せないから…。
『A、今まで沢山ありがとう。Aの素直な感情にいつも救われてたよ』
「…何言ってんのよ急に」
『急じゃない。いつも言いたくて言えなかったの。私Aに出会えて良かったよ。ありがとう』
そう言い終えた時、ゾムに続いて欲しいと願いながら走り続けた先に、ゾムの背中を見つけた。
ゾムの名前を叫ぼうとした時、
「A。好きだよ」
Aのその言葉に私は1度足を止める。
「好き。好きだから、Aにはずっと笑っていて欲しい。それを叶えてくれるのがゾムくんだけなら、私は悔しいけど悲しいけど…Aの事引き止められない。
大好きだよA。ゾムくんに負けないくらい、好きだよ」
やっぱりAにはお見通しだな…。
私とAの最後の言葉は『「またね」』で、それは私の心の中にずっと残るんだ。

電話を終えて深呼吸をする。
吸い込んだ空気を全て吐き出す様に、私は大好きな貴方の名前を叫ぶ。
『ゾム！』
私の声に振り返った貴方は、嬉しさと悲しさの矛盾した感情を混ぜた表情をしていたね。
zm「何で来たん？帰りや」
私がゾムの元に行けば温度の低い声音で淡々と突き放すけど、私はもう怯まない。
『帰らない。ゾムが好きだから来たの』

この先に待っている未来が永遠の暗闇でも、二度と私達を明るく照らしてくれる光が無くても良い。
どんな場所でもゾムが居てくれる場所は暖かいって知ってるから。

STORY☆69→←STORY＊67

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す