STORY☆55 ページ5
Aちゃんの部屋は綺麗に整頓されているものの、ベッドの上だけはぬいぐるみが溢れているから、その対比が心に刺さって簡単には抜けてくれなさそうな棘となって俺を傷付ける。
『ゾム』
zm｢ん？どうしたん？｣
俺の首元に顔を寄せながら『電気付けて』と短く言ったAちゃんは、きっと暗い部屋じゃ眠れないんだと思う。
電気を付けベッドの上のぬいぐるみを避けてから、Aちゃんをベッドに降ろし俺はすぐ横の床に座ってAちゃんの手を握る。
『ゾム一緒に寝ないの？』
今にも眠ってしまいそうな蕩けた瞳と声。
そんなAちゃんを見続けて居られるだけの理性は無くて、俺は情けなくも視線を床に送る。
zm｢…、此処に居るから安心して寝たらええよ｣
『ダメ、隣が良い』
俺の気も知らないAちゃんは可愛らしく甘え続けるから、俺は1度深呼吸してからAちゃんに視線を合わせる。
zm｢あかんねん。同じベッドでは寝られへん｣
風呂に入ってない上に、仮に入っていたとしても好きな女の子と同じ布団で寝れるはずもない。
どうしたって意識して眠れなくて、明日のデートでまた思い出して意識して…きっとそんな事の繰り返しになる。
同じ部屋に居るだけで心臓持たへんのに、一緒の布団なんてあかんわ…。
『じゃあ私も床で寝る』
俺の思考に気付かないAちゃんは予想外の事を言ってきて、ベッドから起き上がろうとするから俺はAちゃんをベッドに戻す。
zm｢…朝起きて怒らんでな｣
『うん、怒らないよ』
ふにゃふにゃした顔で笑うAちゃんは、絶対俺の気持ちなんて1ミリも気が付いてない。
zm｢俺隣に居るから電気消してもええ？｣
そう聞けばAちゃんは小さく頷くから部屋の電気を消して、渋々Aちゃんのベッドに入る。
隣に居るAちゃんの方を見れば、カーテンの隙間から入る月明かりに照らされた瞳と目が合う。
『なんかね、私変なんだよ』
zm｢うん？｣
『だってね、こんな時間にゾムがいる訳ないもん。テレビの音が無くても、部屋が暗くても怖くないの。これ、夢なのかな？』
Aちゃんの手を握り返せばいつもより熱い体温が返ってくる。
なんて返してあげるのが正解なのか分からないから、俺はAちゃんの髪を撫でるしか出来なかった。
暫くして隣から寝息が聞こえてくるから俺も安心して目を閉じる。
弱くて泣き虫で、1人に慣れ過ぎた故に1人が怖い女の子。
泣かせたくない、守りたい女の子。
俺が大好きな女の子。
安心して眠りや。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
