Side A2 ページ24
「何これ。宛先間違ってるんじゃないの？」
始業式から2日後の9月3日。
郵便受けの中にあった封筒はマイクロチップ管理機構からのもの。
家の中で封を開け中身を確認して出た言葉は、そんな溜息混じりのものだった。
【規約違反による厳重処罰について】
貴方は恋愛禁止区域に於いて、その禁止事項に反する行為が確認された為、下記日程にて厳重処罰を執行する事が決定致しました。
執行日:12月1日
「あはは、何この厳重処罰って」
私しか居ないリビングには私の声が響く。
「変なのー。間違えてるよ絶対。私誰にも恋なんて……あれ？」
手紙を破ろうとした指先が震え、頬に熱いものが伝っていく。
「違う。違うよ…これは恋じゃなくて…止まってよ」
少しだけひんやりするフローリングに座り込み、手に持った手紙は涙で滲んでいく。
真っ先に顔が浮かんでしまった。
頭の中で私の名前を呼ぶ声がした。
…やっぱりあの時の痛みはーー
「…私、Aが好きなんだ……っ」
恋だったんだ。
口にした途端Aへの気持ちが溢れて苦しさが増す。
同じ叶わない恋だとしても、好きになるのがAじゃなくてゾムくんなら良かった。
そしたらまだ自分の気持ちを隠せた。一緒に居る時間は殆ど無いから、自然に好意を消せていたと思う。
だけどAには隠せない。
顔を見たら、声を聞いたら、名前を呼ばれたら……もっと好きになってしまうから。
「A……っ、好き。Aが好き…」
抑えきれない気持ちは1人の時に吐き出し続けた。
そうでもしないと本人に言ってしまいそうだったから。
困らせたくない。迷惑かけたくない。…気持ち悪いって思われたくない。
「…っ、A」
次第に家まで我慢出来ていた想いは耐えられなくなって、学校でも気持ちが零れるようになった。
誰も居ない教室、階段の踊り場、廊下。
好きって口にすると一緒に涙も流れる。
こんな私、Aに知られたくない。
「…A」
「B…今の聞いてた…？」
名前を呼ばれて振り返れば心配そうな顔をしたBが居た。
Bは私の問に頷くから私はBに向き合う。
「B。私ね、Aの事…」
「言わなくて良いよ」
私の言葉を遮ってBは私を抱きしめる。
「その先に続く言葉は、1番最初にAに言ってあげて」
「……Bに聞いて欲しいの、私の気持ち。Aには、言えそうにないから…」
私はBから体を離してBの目を見つめる。
「私……Aが好き。好きなの…」
自分の気持ちを口にしたら一気に現実味を帯びて、もっと苦しくなった。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
