Side A ページ23
『…ゾムと別れた』
それは始業式が終わった放課後の事だった。
目の前で涙を流すAを見て、ドクンと心音が大きくなったのを自覚する。
それがどういう意味合いを持つものかなんてその時は考えられなくて、ただ肩を震わせて涙を流すAを抱きしめる事しか出来なかった。
今まで普通にしてきた恋愛が、意味のわからない法律のせいで制限される生活。
新しく規律が制定されるかもと噂が広まったのは、高校に入学して暫く経った頃。
その噂は知っている人は知っている程度の小さな物でまだ確定した情報では無かったのに、自分の将来を犠牲にする程恋愛を優先に出来なかった私は、中２の時に付き合い始めた彼氏に学校が別になってすれ違いが増えたからと適当な理由をつけて別れを告げた。
彼氏の事が好きだったから、本当に法律が制定されてしまった時の事を思うと、一刻も早く彼氏に対しての気持ちを消してしまいたかった。
あの日から恋愛感情に一線引いてきたのに、なんで今……あの時と同じ心音がするんだろう。
｢Aが誰かを想う気持ちを、素直に喜べないのが悔しい｣
Aを教室に残し泣き過ぎた私を落ち着ける為に付き合ってくれたBは、小さな声でポツリと呟く。
｢Aが本当の気持ちを話してくれて嬉しかった。本当は心の底から応援してあげたいよ。アドバイスしてあげたい。でも、私はAに居なくなって欲しくないから...出来ない｣
悔しそうなBの声に落ち着いたはずの気持ちがまた昂りそうで、水道の水で濡らしたハンカチを瞼に当てる。
｢...私も応援したいよ。でも、Aを泣かせる様な事したゾムくんを許せない気持ちもあるの。もう、私もよくわかんない...｣
ゾムくんはAで何がしたかったの？
自分に興味の無い女の子の気持ちを自分に向かせたかったの？
何でAなの？
ゾムくんに対してそんな気持ちで溢れていたのに、教室に戻ると私達のクラスの教室から出て来たゾムくんを見て、一瞬にして泡の様に消えて無くなった。
泣いてたんだもん。ゾムくん。
ゾムくんもAの事本当に好きなんだ。
だからわざと突き放したんだ...。
なんで？
なんで両想いなのに、2人とも悲しい顔しないといけないの？
教室に入るとAはやっぱり泣いていて、そんなAを見てゾムくんも泣いていた事を言ってしまいそうになった。
そんなに苦しいのなら、ゾムくんの本心を教えてあげたかった。
Bが居なかったら私はきっと話してたんだ。
A、笑ってよ...。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
