STORY☆53 ページ3
zm「…お邪魔します」
『誰も居ないから適当に好きな所座って』
Aちゃんは俺をリビングのソファに座る様に促した後、机の上にお茶を置きながらそう言うから、俺は余計に緊張して冷や汗が流れそうだった。
誰も居ないんだろうなとは予想がついていたけど、Aちゃんの口からそれを聞かされてしまえば嫌でも意識してしまうから、俺は邪な気持ちを紛らわす為にコップに注がれたお茶を流し込み思考を冷やしていく。
こんな時間に女の子の家に上がってしまった俺も悪いんやけど、こんなにAちゃんの事を好いとる俺を家に上げたAちゃんはもっと罪深いと思う。
俺の気も知らないで隣に座ったAちゃんは俺に体重を預けてきて、余裕の無い俺を見せないように1拍置いてから声を掛ける。
zm「Aちゃん？…眠いん？」
『…眠くない』
眠くないと言うものの覗き込んだAちゃんは制服のまま半分眠りに入りそうだ。
zm「眠いんやったら風呂入ってき？」
『…嫌』
zm「嫌やないやろ。化粧も落として着替えせな」
俺が立ち上がりAちゃんの手を引いて起こそうとすると、
『だってその間にゾム帰っちゃうでしょ…』
眠気がAちゃんをそうさせているのか、いつものAちゃんからは想像出来ないくらい甘えた縋る声で言われるから、俺はAちゃんの手を離さずにAちゃんの前にしゃがむ。
zm「帰らへんよ。Aちゃんが居って欲しいなら、いつまでも居るよ」
俺がそう言えばAちゃんは安心したのか、未だに眠そうな表情でニコッと笑ってからリビングを出て行く。
多分Aちゃんは誰かに甘えたかったんだと思う。
Aちゃんの家にはあまり生活感が無くて、此処でいつからAちゃんが今の生活を送っているのかは分からないけど、小さい頃から1人で過ごして来た事は容易く想像が出来るから…きっとさっき見せてくれたのが本当のAちゃんだ。
強い言葉遣いでクールを装っていたのは、自分の弱さを他人に知られない為。
あまり感情が表に出なかったのは、独りの時間が長くて感情の出し方が分からなかったから。
空になったコップを片付けようとキッチンに向かう途中、俺が座っていた場所とは違うテーブルの上に、一通の見た事がある色の封筒と紙。
うるさい心音は決して良い意味のものではなくて、見たらいけないのは分かってるのに俺はその紙を見てしまった。
11月20日。それがAちゃんの最期の日。
やっぱり俺が終わらせないとダメなんだ。
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呉城 莉李。(プロフ) - さくさん» さく様コメントありがとうございます(*^^*)テスト期間はストレス溜まりますよね、お疲れ様です。番外編などでもう少し続いていくので、もしお暇はお時間ありましたら、お読みいただけたら幸いです(_ _*)) (2022年11月23日 10時) (
レス) id: 7f13b99d76 (このIDを非表示/違反報告)
さく - ええ話ですね。つづきがあるかもですが、ひとまずよかったです！読むはじめて損しませんでした！テスト期間でイライラすることが多かったのですが素敵な話でスッキリしました。またちょくちょくみに来ます。大好きです。 (2022年11月22日 21時) (レス) @page22 id: 7d60a27ef9 (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ひよこさん» ひよこ様コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいお言葉ばかりで、私もひよこ様のコメントに泣きそうになりました。お時間いただきありがとうございます！もうすぐ完結なので、またお暇な時にでも覗いていただけましたら幸いです(_ _*)) (2022年10月21日 22時) (レス) id: 4f45722e46 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - 初コメント失礼します。今日初めて読んだのですが、泣きました。号泣しました。こんなに心に刺さったのは初めてです。本っっっ当に大好きです、更新楽しみにしています！ (2022年10月21日 21時) (レス) id: 82efcbbf1e (このIDを非表示/違反報告)
呉城 莉李。(プロフ) - ねう。さん» ねう。様コメントありがとうございます！私も自分で執筆していて完結に近付いていくのが寂しく思っていたので、そのお言葉とても嬉しいです(；；)！更新頑張りますね！ありがとうございます(*^^*) (2022年9月26日 7時) (レス) id: d747e32ce0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉城 莉李。 | 作成日時：2022年9月22日 12時
