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「ねぇ。あの部屋何があるの？」
一度も足を踏み入れた事がない扉を指指し、付き人に尋ねた。
毎日同じ事の繰り返し。
飽き飽きしていた所に、少し好奇心を擽る要素が出てきたのだ。
当然気になる。
しかし、返ってきた言葉は
「坊ちゃまには、関係ありませんよ。ただの物置ですから。」
なんともまぁ、呆気ないものだった。
「ふーん。」
なんだ。ツマラナイ。興味が一気に削がれてしまい、また、ツマラナイ日々の繰り返しが始まるのだった。
「坊ちゃん！？！？どこ行くんです！？」
引き止める声を聞いてないフリをして、外へと駆け出した。
「まだ、稽古は終わってないんですよ！？」
ガミガミと怒号が聞こえるが知ったこっちゃない。
たまにはこんな刺激的な鬼ごっこも良いんじゃ？と思うほどだった。
ま、捕まえられないだろうけどね。
「はぁ。ツマンネ。」
案の定、付き人の奴らは俺を捕まえることも探し出すことも出来なかった。
もちろん、まだ探しているだろうが見当違いの所を走り回っているだろう。
外に飛び出したフリをして、実は屋敷に居るなんて思ってもみないのかもしれない。
部屋に戻るか。と思った時に、フと、１つの扉が目に入った。
俺には関係ない。物置だ。と、言われた場所だ。
ゆくゆくはこの屋敷は俺のものになるのに、俺に関係ないはおかしくないか？と年齢と共に成長した思考が、１つ疑問を投げ掛けた。
キィ。と、音を立てて開いた扉。
物置だと言っていた割には、物は少なかったが、特出変わった事はないただの部屋だった。
棚には物が置かれ、一面畳がが敷かれていた。
何もねぇのかよ。と、部屋に設置された棚に置かれた物を見て回る。
工具箱や何かよく分からない置き物があるだけで、これ壊したらどうなるんだ？なんて、悪戯心も湧いてきたとき
「あ？」
同じ足音を奏でていた畳が、そこだけ違う音を奏でた。
その周辺を踏み鳴らすと、やはり音が違う。
半畳ほどの部分がまるで、下に空洞が空いているような音がするのだ。
「お宝でも隠してんのか？」
畳を剥がすため、先程見つけた工具箱からマイナスドライバーを取り出した。
「ビンゴ！！！」
畳の下には、床板が敷かれているだけでなく、その一部の床板が外せるように加工されていた。
床板を外すと
「…階段。」
長い階段が現れたのだった。
「面白そ。」
俺は何の躊躇いもなくそこに足を踏み入れた。
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作者名：こっちゃむ | 作成日時：2021年2月2日 13時
