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「やぁ。久しぶりだね。」

『…っ、お、お前!!』


その声に、宿儺を隠すようにその男の前に立つ。

突然目の前に現れたのは、私にとって天敵のあの男だ。
最後に会った日から10年以上経っているというのに、彼の風貌はほとんど変わりがない。


「君の子供?一途じゃなかったの?彼が可哀想だねぇ?」


背後に居る宿儺を一瞥し、不敵に嗤う彼。


『…っく。』

「あれだけ前世だ今世だ言ってたのに、嘘じゃん。ちっぽけな愛だった、って訳ね。」


何も言い返せない私は、ギリリと奥歯を噛んだ。
此処で宿儺と宿禰の誕生の秘密を話す訳にはいかない。呪物を飲み込んだ末に生まれた命だと分かれば、祓う(ころす)とも言いかねないからだ。

この男。私を挑発して、誘導しようとしている。


残念。なんて言いながら、私の背後に立っていた宿儺へと視線を移した。


「君、ちょっと良い?」

『それ以上、近づかないでっ!!』


両手を広げて立ち塞がるも、肩にトンと、軽い重み。
振り返ると宿儺が、フっと小さく笑った。


「A。落ち着け。俺は大丈夫だ。信じろ。」


そう言って、私の前に立った。

宿儺の力強い言葉に、この場に宿禰が居なかったのは幸いだったかもと、少し冷静になれた。

ん、んー?っと、五条悟はじっくり顔を眺めると

「へぇ。ウケる。両面宿儺の呪力、混じってんね。で君は、両面宿儺の術式を持って産まれてきた、と。Aには呪力も術式も無いのに、どうしてか…。うーん。ね、A。今僕は、2通り仮説を立てたんだけど、聞く?」

『…っ!?』


宿儺の陰に隠れていた私を、ひょこっと覗き込んだ。
その言葉に返事を返したのは宿儺だ。


「貴様にAを名で呼ぶ事を許可した覚えはないぞ。不愉快だ。」

「だって、僕、この子の名前しか知らないもん。じゃあ、1つ目ー。Aは、呪術師と(まぐわ)い、妊娠。飲み込んでいた両面宿儺の呪物が妊娠した赤子に影響し、両面宿儺の呪力、術式を持って産まれた。」


宿儺の機嫌が悪い事くらい、すぐに解るのにこの男は、全く動じない。
やっぱり、自分で最強と言うだけある。
宿儺を怒らせたところで、負けない自信でもあるのだろう。


「2つ目。呪霊、呪物から子を孕める特異体質。
どっちにしたって、君に呪物を飲み込ませたの失敗だったかなぁ。しかも、後者の可能性が高い。ねぇ、A。呪霊の子を孕んだの?」


こう言ってはいるが、後者であることにほぼ確信を得ているだろう。

つくづく苦手な男だ。





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設定タグ:呪術廻戦 , 両面宿儺
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こっちゃむ(プロフ) - 朧さん» 朧様、コメントありがとうございます!(^^)夢主さんイカれてますので、食べちゃいましたねw 神作品と言って頂けて本当に光栄です。涙までっ!こちらこそ、感謝の気持ちでいっぱいです!また、別の作品で会えることを願ってます!読んで頂きありがとうございました(*^^*) (2021年2月14日 22時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
- こんばんは!神作品を作っていただきありがとうございます。夢主が宿儺の指を食べた所は「え、それヤバナイ?」と思いましたwでも後でまた生きてくれてて良かったと思いました!過去編もめっちゃ泣けました。本当にありがとうございました! (2021年2月13日 22時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 猫人さん» 猫人様、コメントありがとうございます!(*^^*)数ある作品の中から目を通して頂けるだけでも光栄なのに、一気見、神作と、お褒めの言葉、大変嬉しく思います(*^^*) 最後までお付き合い頂きありがとうございました!(^^) (2020年12月29日 10時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)
猫人(プロフ) - 設定やストーリーがしっかりしていて一気に見てしまいました!とてもおもしろかったです。神作をありがとうございます!! (2020年12月28日 22時) (レス) id: 06ea173e41 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃむ(プロフ) - 雪丗さん» 雪丗様、いつもありがとうございます!この話は終わりは決まってたのです(^^) 書き置きにオチまで載せてしまうとあれかなーと思って載せなかっただけなので!なんて言うか、勢いで書き切りました!!また、改めてメッセージ読ませて頂きますね!(*^^*) (2020年12月16日 17時) (レス) id: 04ce2c00fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こっちゃむ | 作成日時:2020年12月14日 21時

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